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前へ 「ズズズーーーーーーン!!!!」 凄まじい爆発音が鳴り響き、ラジオ塔が崩壊してゆく。 その衝撃や惨状はコガネゲート前にいた人々や、今だクモの巣をかきわけているスネ夫にも容易に観測出来た。 ある人々は驚き、またある人は余りに衝撃的な光景に目を疑う。 しかし、ここに一人例外がいた。 しとしと降る雨にうたれながらも、その顔は狂喜で歪んでいる。 のび太「計画通り………。 そして、時間通り……正確だ。」 のび太は時計を見ながら微笑みを浮かべた。 「計画通り」「時間通り」「正確だ」 この三つは何を意味しているのだろう。 それはこれから順を追って説明せねばならない事になる。 と、いう訳で時間を少しばかり巻き戻してみよう。 時はドラえもんがラジオ塔に侵入した時、すなわち、コウがのび太に騙し討ちをしようとした時間まで遡る。 コウを追い詰めたのび太。 一方コウはのび太に不意打ちを食わせようと、クロバットとエアームドをのび太の背後に忍ばせていた。 雨のせいか、後ろの二匹に全く気づかないのび太は言う。 のび太「安心しろ。死ぬ運命は避けられないが、苦しくはない。 大人しくしてろよ……。」 コウ『言っとけ………。 あと2m………。』 鼻血を出し、地面に叩きつけられ惨めな姿になっても、コウは今だ最後の望みに全てを賭けている。 のび太に迫る二つの影。 まだ気づかれてはいない。 コウ「後少し……もう少し……。」 そして二匹は、完全にのび太への射程距離内に侵入することに成功した。 完璧に気配を殺し、エアームドがその鋭い刃の羽を振り上げる。 コウ『今だッ!!!殺せぇぇッ!!!』 鋼の翼がのび太の勁動脈に襲いかかる。 のび太「!!!!!」 人間の神経系を駆け巡るインパルスの中でも、最速のものは18m/sの速さを記録するらしい。 それが速いと思うか、遅いと思うかはここでは置いておこう。 ともかく、のび太への攻撃は通常、上で挙げた常人の反射の速さでは到底防げるものではなかった。 しかし、エアームドからの斬撃はのび太の首を少しかすめただけで、完璧にかわされたのである。 コウ「ば………バカな……タイミングは完璧だったのに……。 よ、避けられる訳が……。」 最後の策も尽き、コウはうめく様に言う。 のび太「ハア……ハア……ハア……。 野郎……死ぬとこだったじゃねえか……。」 のび太はそう言いながら自分の首筋を触る。 指には微かに血が滲んでいた。 のび太「血……。このオレが血を……。 ………このクソ鳥共がぁああああ!!!!」 のび太は逆上し、それに合わせるかの様に、ゲンガーがエアームドとクロバットにシャドーボールを雨霰の如く浴びせる。 二羽が完全に動かなくなった後もそれはしばらく続き、一分後、シャドーボールのPPが切れてやっとそれは中断される。 二体のその姿は、目もあてられない様なものになっていた。 それを見たのび太は、満足そうに指についた血をしゃぶり、荒い息を整え始める。 一通り感情も爆発し終えて、気分も落ち着いてきたようだ。 のび太「ふぅ……。危なかった。 雨で音は消えていたし、気配は完全に消されていた……。 下手したら、マジで死んでたかもしんねえ……。」 のび太は言い、またコウヘ一歩踏み出す。 その顔に不気味な笑みを浮かべながら。 コウ「ヒイイイイイ!!!! なっ、なっなっ、何故ぇぇッ!」 コウは怯えながらも騙し討ち失敗の原因を聞こうとする。 発狂寸前。口からはだらしなく涎が垂れている。 のび太「ん?何故俺がお前の不意打ちに気づいたか知りたいのか? いいだろ。教えてやる。」 のび太はコウの、言葉にならない言葉を汲み取り言った。 のび太「お前の体には俺の背後を映し出す物が一つだけあった。 そして俺はそれで偶然気づいた。それだけだ。」 コウ『じっ、自分の、かっ、体?そっ、そんなものは………。』 コウは半狂乱の頭で考える。 映し出す……。鏡……。光? まさか! コウは反射的にその部位を押さえた。 のび太「そう!!正解だ!お前の瞳にあの鳥が映っていたんだよ!」 のび太はそう言い、コウの頭を掴む。 のび太「これから言う質問に答えたら、無事に逃がしてやる。 お前の手持ちポケモンを全て言え。 ええと、なになに………。」 のび太はコウのポケモン達を黒い冊子のノートに書き込んでゆく。 一通り書き終えた所で次の質問に入った。 のび太「お前のコウという名前は本名(フルネーム)か?」 コウは無言で頷く。 のび太「そうか……。」 のび太は冊子に次々と何かを書き込んでゆく。 そして二分後。 「パタン!」 のび太は何かを書き終え、冊子を閉じて言った。 のび太「お疲れさん。 これは餞別だ。親が変わるから進化するかもな。 まあとにかく頑張れよ。」 のび太はコウにモンスターボールを渡し肩を叩く。 モンスターボールの中身は誰にも知らせていないアイツだ。 コウは突然の恐怖からの解放され、渡されたモンスターボールを手にポカーンとしている。 のび太「早く行けってんだよカスが!!!」 のび太はコウの尻に蹴りをかました。 その勢いで彼の体は一回転し、水溜まりに叩きつけられる。 コウ「うわあああああああ!!!」 水溜まりの水を撒き散らし、恐怖の叫びをあげながら、コウの姿は雨の中へと消えてしまった。 降り頻る雨の中、残されたのび太は一人呟く。 のび太「よし、これが上手くいけば、脱出にかなり有利になれる………。 デキスギとかいう奴らも出し抜けるぞ!」 のび太は再びノートを開き、そこに細部を書き込み始めた。 その内容は以下の通り。 名前【コウ】 死因【爆死】 手持ち【クロバット・エアームド・リザードン・オニドリル・ゴローニャ】 死の前の状況【コガネシティのラジオ塔に向かうが、途中で体の汚れが気になり、近くの無人の民家で体を洗い服を着替える。 その後再びラジオ塔へ向かい、首領を倒そうとするも他人から貰ったゴローニャが言うことを聞かず、200X年 X月X日 午後4時44分、自らのポケモンの爆発に巻き込まれ死亡】 のび太は満足そうな表情をし、ノートを閉じた。 のび太は自らの勝利を揺るぎない物と確信していた。 それからの展開は早かった。 ドラえもんとトシミツは通り抜けフープにより、間一髪爆死の危機を免れ「ドンブラ粉」を使い地面への衝撃も防ぐことが出来た。 その後、トシミツは破壊されたラジオ塔を見て、抵抗する事を断念。 数分後、ラジオ塔に駆け付けたコガネのトレーナー達に自ら身柄を引き渡した。 ドラえもん達もスネ夫、のび太、そして生存が確認されたジャイアンと合流することに成功し、ジャイアンの無事を一人を除いて心から喜んだ。 ちなみにその時、幹部のカホウ、キキョウは身柄が拘束され、後にラジオ塔の三階からコウの物と見られる爆死体が発見された。 コガネの住民はすぐにでも我が家に帰りたいという意思を示したが、雨の為の事故、大人数の移動による大混乱を引き起こす可能性があり、それは却下。 次の日から少しずつ移動することに取り決められた。 色々とあってあっけない幕切れの様だが、今回の事件は一応の解決を見る事になる。 しかしある人物達の戦いは、まだ終わってはいなかった。 ジャイアン「ブハァ!うめえ!」 ジャイアンはペットボトル一杯のサイコソーダを一気に飲み干す。 現在はラジオ塔の事件解決の宴の真っ只中。 家に帰れない住民達が、せっかくだからと良心で取り繕ってくれたのだ。 ジャイアンは山の様に積まれた料理を鬼の如く食い荒し、一方スネ夫は今回の事件でのエピソードを、色々と肉をつけて住民達に話し、いい気分に浸っていた。 ドラえもんに至ってはまさに「溺れる様に」、どら焼きを貪り続けている。 皆楽しそうだ。 しかし、全員がそうであった訳ではない。 「そいつ」の中では、まだ事件は終わってはいなかった。 アカネ「なんや、あんまり楽しそうやないなあ?」 アカネは「そいつ」に近づき、顔を覗き込む。 アカネは「そいつ」の席の隣に座った。 アカネ「なんか、まだ難しそうな顔してんなあ。 事件は終わったっちゅーのに。 まだなんかあるんか?のび太。」 アカネはのび太に訊く。 のび太はコップの飲み物で少し喉をうるわすと静かに言った。 のび太「例の物は……。例の物は用意したかい……?」 のび太に言われ、アカネはポンと手を叩く。 アカネ「ああ、アンタの言っとった「アレ」か。 一応用意しといたで。」 アカネは胸ポケットから小さなディスクを取り出す。 のび太「ありがとう。」 のび太はそれを受け取り、一礼した。 アカネ「でもなあ、アンタそれ、何に使うん?」 アカネは好奇心からか聞いてくる。 のび太はそれを軽く受け流した。 のび太「これから一番大切な事……さ。」 のび太はアカネに見えない角度で薄気味の悪い笑みを浮かべる。 ラジオ塔の爆破も、ディスクを手に入れた事も、ジャイアン達を始めその他のトレーナー達が自分の言うことを守ってくれたのも、全て自分の策通り。 あとは仕上げだけ。 いうなれば画竜点睛。 竜の絵に瞳を入れるのは自分! のび太はそう確信していた。 ドラえもん「ウップ、ウップ。食べ過ぎた……。」 すると、そこに腹に大量のどら焼きを抱えた奇妙生物が二人の目の前を通り過ぎようとした。 アカネ「ああ、ちょっとそこの青狸君、待ちいや。」 ドラえもん「僕は狸じゃない!」 アカネはドラえもんを呼び止めた。 アカネはドラえもんに言う。 アカネ「アンタ、誰か忘れたけど呼ばれよったで。 向こうのテントで待ってるやて。」 テント?ドラえもんは頭を捻る。 これから誰かを呼ぶつもりだが、誰かに呼ばれるような記憶は無い。 ドラえもんが必死に大きな頭を抱えていると、彼が探していた少年が視界に飛込んできた。 のび太はドラえもんに気づいてか気づかずか、しらんぷりをしている。 ドラえもんはそれに近づく。 のび太の計画では今日は何も起らないハズだった。 しかし耳元で囁かれたドラえもんの言葉は、のび太の計画そのものに危険をきたすものであった。 ドラえもん「僕の用事が終わったら、君と二人っきりで話がしたい。 場所は作戦会議用のテント。時間は20分後。 遅れないようにね。」 のび太『何ッ!?』 ドラえもんはそう言い、その場所を離れてゆく。 のび太「…………あいつ……。」 残されたのび太は、ただ呆然とその後姿を見送る事しかできなかった。 ―のび太がドラえもんとの約束終えた10分後― ガチャ。 例の部屋の中に一人の人影が立ち入る。 「キョロ、キョロ。」 その人影は辺りを見回すと、まだここには誰も居ない事を確認した。 のび太である。 ドラえもんに呼び出されたのび太は、これからの事態に対処すべく、約束の時間よりも少し早い時間にきていた。 のび太「さて……。これからどうするか……。」 のび太はノートを開き呟く。 のび太はドラえもんの名前を知っている。 殺ろうと思えばいつでも殺れる。 しかし、ここでヘタに殺す訳にはいかない。 奴は、多分仲間に「のび太は時間犯罪者だ」とまでは言っていないだろうが、「僕が不自然に死んだらのび太を疑え」というような「保険」をかけてる可能性がある。 ジャイアンとスネ夫はすぐに動き出すだろう。 そうなれば策を実行する時間が無くなる上に、デキスギ達との戦いが有利に進まなくなる。 だが、場合によっては殺す事も考えなければならない。 のび太は事前にその準備をするためにここに来たのである。 のび太は、シャープペンシルを取り出しノートにいそいそと何かを書き始めた。 記入内容は以下の通り 名前【トラえもん】 手持ち【ヌオー・キマワリ・デンリュウ・エイパム】 トラえもんは間違いではない。 非常事態に備えての策である。 必要な時、いつでも濁点を入れて名前を完成させる事が出来る。 ノートは切り取ってポケットの中に入れておけば話ながら自然に奴を殺せる。 のび太「よし……。 これで準備は整った……。後は奴がどのように攻めてくるか……」 のび太は呟き、ふと時計を見る。 時計の針はいつの間にか10分の時が過ぎた事を告げていた。 部屋にはカチカチと秒針が時を刻む音が支配し、他の音の存在を許さない。 しかし、すぐに静寂は破られる。 目の前のドアがギィと開き、そこから大きな青い球が顔を出した。 ドラえもん「待たせたね……。」 次へ
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のび太(出展:ドラえもん 原作:なし ) □プロフィール(暫定) 別名スリーピングスナイパー 元人間。現在はモノクマに改造された改造人間。射撃の腕は某ヘイへ並み □キャラ情報
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開催予定 日帰り乱発開催 月2~3回 トレーラー 「さて、聖杯戦争を始めようか!」 ここはなんやかんやあって聖杯が大量生産されるようになってしまった世界線。 魔術協会と聖堂教会も管理しきれない程の数、されどうっかり問題のある使い方をされればたまったもんじゃない。 というわけで両組織は各地で小規模の聖杯戦争を開催しまくり、適度な願いで聖杯を消費しまくってやろうという結論に至った。 「というわけでみんな、宝くじ感覚で願いを叶えちゃおう!」
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前へ 一方、ゲート前にはのび太とジャイアン、及び大量のとけるを使った みがわりドーブルが待機していた。 そこにアンノーンが飛んできて、見張りを消したことを知らせる。 のび太「突撃OKだって。 もう行く?」 のび太が聞いた。 ジャイアン「行くか………。」 ジャイアンも同意する。 のび太とジャイアンは静かにゲートを開けた。 やはり中には誰もいない。 のび太とジャイアンはそそくさとゲートを抜け、 ドーブル数匹とアンノーンに先を偵察に行かせる。 五分後、アンノーンとドーブルが帰ってきた。 ドーブルは二匹程減っていた。 のび太が先に進んでいいか聞くとアンノーンはよいと答えたので そのまま先に進むことにした。 コガネ内部にもやはり雨は降っている。 そこには誰も居なかった。恐らくドーブルに消されたのであろう。 今回二人に突入させたのは最終決戦の戦いを有利に進めるため。 故に奴らに人の侵入がバレるのは得策ではない。 ここ一週間のドーブル作戦もこの侵入の為の布石。 人員を削るのはオマケにすぎない。 二人は建物の影に隠れながら先を進む。 雨と緊張の為か疲労が大きい。 ここ数日の連続戦闘もたたっているのだろう。 ジャイアン「そろそろラジオ塔の前だな………。」 ジャイアンが小声でのび太に言いのび太は頷く。 ジャイアン「俺はここでもしもの為に待機する。 のび太、とりあえず行ってこい。 何かあればすぐ駆け付けるから。」 のび太「うん。」 のび太はそう言い二人は別れた。 多分スネ夫にしても、ここまで誰にも見付からず侵入できているのは 計算外のラッキー。 もしかしたらスネ夫の報告以上にロケット団の連中は熱中症で 倒れてるのかもしれない。 ここまで上手くいくからには最後まで完璧にしたほうがいい。 雨の降り頻る中、ジャイアンは息を殺していた。 大量のドーブルと一緒にいると目立つのでそれらは路地の死角に全て隠してある。 ジャイアン『のび太と別れてからもう10分程………。 塔の中からは誰も出てきていないな………。』 ジャイアンの役目は、突入のサポートするためラジオ塔の動きを監視すること。 ただ監視するだけならアンノーンにも出来るが この任務は場合によっては敵の足止めもしなければならない。 そこで適任を考えた結果、一行の中で最も戦闘能力の高い ジャイアンが選ばれた訳だ。 しかし、悲しいかな、ジャイアンは飽きっぽい。 この単調な作業に飽きてきた。 余りに変化のない状況に欠伸をした時だった。 ジャイアンの2.0の視力はラジオ塔から二つの人影が出てきたのを捉えた。 ジャイアン「あいつらは…………。」 ジャイアンは必死に記憶の糸をたぐりよせた。 ジャイアン『確か男がコウ。 女の方はどっかの町の名前だったな………。 ヒワダだっけか?』 ジャイアンは監視を続け近所の子供達にも「地獄耳」と 恐れられる驚異の聴力で二人の話を聞く。 コウ「……部下からの連絡が途絶えました。 また消されたようですね。」 コウが耳から通信機のような物を外し言う。 キキョウ「あんたやトシミツ様の言う通りあのドロドロは町中に侵入してきたようね。」 ジャイアン『ドロドロ………? あ、スネ夫のドーブルの事か。』 ジャイアンは素早く思考を働かせ考えた。 しかし、話を聞くのを怠った訳ではない。 とりあえず、ラジオ塔から幹部の二人が出てきたのをアンノーンに伝え、 のび太に伝令させる。 コウ「しかし、トシミツ様の言う事に間違いはないんでしょうね? もし間違っていれば連中の駆除どころか私らが消されかねない。」 コウが心配そうに言う。 キキョウ「大丈夫よ。 トシミツ様の言うことに間違いはないわ。 とりあえず駆除に向かいましょ。」 ジャイアン『ヤベエな…… もう気付きやがった……。』 ジャイアンは唇を噛む。 奴らの言動から考えるに、ドーブル駆除ということはこれから町に 繰り出すのは間違いない。 その場合のび太とは高い確率で遭遇するだろう。 足止めしようにも、まさか幹部クラスが二人も来るとは思い浮かばなかった。 連中も幹部ならあのスターミー野郎と同じくらいの力量を持っているに違いない。 自分がいかに強くなっていたとしてもカホウ二人分には恐らく勝てないだろう。 しかし、このままではその戦力をもろにのび太が受けてしまう。 行くべきか、黙するべきか。 思考より体が先に動くジャイアンも、この葛藤に悩まされていた。 コウ「まあ、やるだけはやってみましょう。 キキョウさん、行きますよ。」 コウはそう言い歩きだした。 ジャイアン『ヤベエ! こっちに来た。』 ジャイアンは息を潜め気配を殺した。 ぴちゃぴちゃ。 コウとキキョウの足音が聞こえる。 ジャイアン『くそっ! 見つからねえでくれ!』 ジャイアンは強く念じお祈りのポーズをとる。 ジャイアンの願いが通じたのか、その足音は次第に遠くなってゆく。 ジャイアン『助かったか………?』 ジャイアンはホッとした。しかし、 「ピルルルルルルル。ピルルルルルルルル。」 雨の中に渇いた電子音が響き渡った。 ジャイアン『な、なんだ!?』 ジャイアンはあわてて自分のポケットを見た。 そして、音の発生源が自分のポケギアであることが解り、すぐに電源を切った。 ジャイアン『ヤベエ! 絶対見つかった………』 あれほど大きな電子音が響いたのだ。 奴らが気づかない筈はない。 ジャイアンは恐る恐る、物陰からコウ達がいた所を見た。 ジャイアン『あれ………?』 奴らは居なかった。 ジャイアン『もしかして、雨で奴らにはこの音が聞こえずに、 先に行ってしまったのか? まさか俺様ラッキー!?』 ジャイアンはそう思い、ホッと胸を撫で下ろした。 しかし、ジャイアンの安心感は無惨に崩れ去る事になる。 誰かの手がジャイアンの肩に触れたからだ。 コウ「こんにちは。」 コウ「君はあの時の………。 まさかこの戦線に参加していたなんてね。」コウがジャイアンの肩に 触れながら不気味に笑う。 ジャイアン「うおあああああ!!」 ジャイアンはコウの手を振りほどき、反射的にその場から逃げ出した。 ジャイアン『ヤバイ……! ここは逃げるしかねえ!』 慌てて逃げるジャイアンを見てコウが言う。 コウ「つれないですね………。 ねえ、キキョウさん。」 キキョウ「逃がさないわよ………。 アリアドス!くものす!」 ジャイアンの退路にクモの巣ができ、逃げられなくなる。 キキョウ「これで逃げられない………」 キキョウは冷たく笑う。 ジャイアンは絶望的な危機に頻していた。 だがジャイアンにはスネ夫に言われたこういうときのための 最後の策が用意されている。 ドーブルのテレポートだ。 ジャイアン『ドーブル達がこっちに来るまで時間を稼がねえと……』 ジャイアンは思考をフル回転させた。 ジャイアン「ちょっ、ちょっと待て! 取引しねえか?」 キキョウ「取引?」 ジャイアン「ああ、取引だ。」 上手い具合いに乗ってくれた。 後は時間を稼ぐだけ。 ジャイアン「あのドロドロの正体を知りたくねえか?」 ジャイアンは会話で時間を稼ごうとする。 ドーブル達とはクモの巣を隔てているが、 液体状になってる連中なら突破出来るだろう。 ドーブル達もこの状況に気づいたかゆっくりとこちらへ向かってくる。 ジャイアン「そもそもな、お前らが………」 ジャイアンは無い頭を必死で駆使し、時間を稼ぐ。 奴らは雨の視界の悪さでドーブルには気づいていないようだ。 ドーブルとジャイアンまでの距離は確実に短くなる。 あと30m 20m……… ジャイアンが絶対絶命のピンチに頻しているとき、 のび太はコガネのポケモンセンターにいた。 のび太は口元を弛め、センター内に用意してある公衆電話の電源を切り、 辺りを見回す。 ジャイアンを見て来いと言ったので、周りにアンノーンはいない。 のび太『これで厄介な奴が死んでくれた。』 のび太の顔が醜く歪む。 ジャイアンのポケギアを鳴らしたのは彼である。 そもそも、のび太にとって、ジャイアンの存在は、最も邪魔であり厄介であった。 まず、奴らの中でドラえもんは、名前を知っていてラクに殺せる。 スネ夫は、ポケモンの応用力、戦術力は高いがかなりのレベル不足。 スネ夫が団員を拉致している間、のび太達は、送られてきたロケット団相手に、 経験値、及び戦闘経験を積んでいた。 正直、現在戦闘という面では自分より圧倒的に弱い。 故に奴はノートで殺せなくても、問題は、なんらない。 だが、問題はジャイアンである。 明らかなる偽名(というかニックネーム)により、ノートでは殺せない。 しかも、奴は、完全なるバトルマニア。 手持ちの強さなど足下にも及ばない。 故に、コイツを殺すにはチャンスと安全な策が必要。 ノートや戦闘で殺せないなら違う方法を採ればいい。 それは、ジャイアンをハメて、コガネで戦死させる事である。 のび太「奴と幹部………。どっちが勝っても得をすんのは俺。 決行まで、いい案が思い浮かばず、小手先の策となったが、 まさか、ここまでうまくいくとは思わなかったぜ。 確実に流れは俺の方へ向いてるな。キシシシシ。 もう、キツネ顔の注文も済ませた事だし、この街に用はないな。」 のび太はそう呟き、うすら笑いを浮かべながら、ポケモンセンターを後にした。 一方、のび太の策に、まんまとハマったジャイアンに視点を戻す。 ジャイアン「それでな、その青狸がな………」 ジャイアンは相変わらず、時間稼ぎをしていた。 しかし、生まれつきの頭の悪さか、まともな会話ができていない。 黙って話を聞いていたキキョウも、流石に不信感を抱く。 キキョウ「あんた………、何か話を先伸ばしにしようとしてない? なんというか、時間を稼いでるような………」 目を細めてキキョウが訊く。 ジャイアン「そそそそ、そんなことねえよ!!」 ジャイアンは慌てて誤魔化す。 ジャイアン『バレたか………。 まあいい。 ドーブルまで後10m程だ。 この間合いなら、女の方の攻撃は受けても、男の方は間に合わない。 要は逃げれりゃいいんだ。』 ジャイアンはドーブルの方をチラリと見る。 もう、すぐそこだ。 ジャイアン『ふん。俺の勝ちだな。』 しかし、ジャイアンが勝ちを確信したときだった。 ボンッ、と音がして、液体状だったハズのドーブルが、本来の姿をさらけだした。 ジャイアン「なんで!? 何故液体化したドーブルが……」 予期せぬ突然の事に驚くジャイアン。 その様子を見て、コウがクスクスと笑いだした。 コウ「くくくくく…………。 流石はトシミツ様。 歳の功とは恐ろしい……。」 キキョウ「しかし、危なかったわ………。 全然気付かなかった。 ありがとう。コウ。」 雨の中で、コウと、キキョウの会話が飛び交う。 ジャイアンはただ呆然としていた。 ジャイアン「何故だ……?」 意気消沈とするジャイアンに、コウが言い放つ。 コウ「何が起こってるか分からないのかい。 なら、向こうを見るといいよ。」 コウは、そう言いドーブル達の方を指さした。 ジャイアンはそれに従い、指さされた方を見る。 ドーブル達の「とける」が次から次に解除されていっている。 ジャイアンはしばらく、それに目を奪われていたが、じきにドーブル達の上に、 黒いモヤがかかっているのに気付いた。 ジャイアン「あれはまさか………。 くろいきり?」 コウ「ハッハッハ! そうだよ!まさに、その通り! ちなみに上を見てごらん。」 コウが笑いながら、今度は上空を指差す。 ジャイアン「あれはクロバット!」 キキョウ「その通りよ。」 キキョウが言った。 そしてコウが説明を始める。 コウ「あなた達の攻撃が、「とける」を使ったポケモンということは 予測はついていました。 (まあ、トシミツ様は水の中で生きれる事からシャワーズか、 ベトベター推測してたんですけど。) だから、それを解除させる為に上空からクロバットにくろいきりを散布させながら 飛ばしたんですよ。」 コウの言葉にジャイアンは唇を噛む。 ジャイアン『くそっ! 雨のせいでクロバットにもくろいきりにも気付かなかった……。 恐らく今までいた見張りも、地上に注意を向けさす為の布石……。 奴らはだから安心してあまごいをしたんだな……。』 ジャイアンはチラリとドーブル達を見やる。 ドーブル達とは「くものす」で分断されている。 「とける」を解除されたドーブル達は「くものす」を抜けれず、 最早どうしようもない。 絶望にうちひしがれるジャイアンに、コウが笑いかける。 コウ「さあ、とりあえず君をどうしようかな。」 キキョウ「決まってる。」 そう言い、キキョウが身構える。 ジャイアンにはもはや、戦闘しか道は残されてはいなかった。 ジャイアン「畜生!いけっ、ヘラクロス、オーダイル!」 ジャイアンは、そう言いポケモンを繰り出した。 キキョウ「そうこなくちゃ!」 キキョウも腰のモンスターボールに手をかける。 だが、ただ一人コウだけは動かない。 キキョウ「コウ? どうしたの?」 不審に思ったキキョウが訊いた。 コウは笑いながら答える。 コウ「キキョウさん。 こいつは僕達が戦うまでもありません。 巻き込まれないように、避難しましょう。」 キキョウ「は?」 コウはそう言い、キキョウを半ば強引に連れラジオ塔の方へ歩いて行く。 ジャイアン「なんだ!?逃がしてくれんのか!?」 ジャイアンが訊く。 ジャイアンにはコウの行動の意味が解らない。 尚も、コウとキキョウはラジオ塔を目指し歩く。 そして、ラジオ塔の入口の前に行った時、コウが言った。 コウ「逃がす?そんな馬鹿な。逃がしはしませんよ。気付いて下さい。 今は雨ですよ? ねえ、カホウさん。」 ジャイアン「なっ!?」 ジャイアンが気付いた時にはもう遅かった。 ラジオ塔の頂上からカホウとスターミーと、大量の水が流れてきた。 スターミーのなみのりは、ジャイアンとドーブル達、 及びそこにあった物全てを跡形も無く洗い流した。 ジャイアンがカホウの水に呑み込まれてから一時間後、 アンノーン達はその事をスネ夫に報告していた。 アンノーン「ジャイアンがやられた。 津波に呑み込まれて行方が分からない。」 スネ夫「なんだって!?」 スネ夫はアンノーンの報告に驚きを隠せなかった。 スネ夫は暫し黙っていたが、やがて口を開いた。 スネ夫「わかった………。 とりあえず、ジャイアンを捜索してくれ。」 スネ夫はそう言い、アンノーン達を追い出した。 スネ夫「くそっ!」 スネ夫は机にやるせない気持を全てぶつけた。 アンノーンの話では、あの一撃はジャイアンを死においやるには 十分な威力だったという。 確かにそうかもしれない。 前回は、雨が降っていなくて、しかもポケモンが盾になってあの威力だったのに、 今回は雨の中でモロになみのりを食らってしまっていたらしい。 ここまで響いてくるあの音から想像するに、 アンノーンの言うことに間違いはないだろう。 一番の戦力であったジャイアンを失ったのは大きなディスアドバンテージだ。 しかし、言い方が悪いがジャイアンは死んでも作戦になんら問題はない。 余りこんな言い方はしたくないがむしろ、人質にならない分、死んだ方が好都合。 本当に死なれて困るのは、のび太だ。 ドーブルの正体は奴らに見破られた。 まあ、これは計算通り、というより好都合か。 しかし、のび太に死なれてしまうと、全ては台無し。 ジャイアンの死も、ドーブルの能力が知られたのも、全て無駄になってしまう。 スネ夫「のび太が生きていれば……。 でも、ゲームを脱出すれば生き返るとはいえ、ジャイアン……。 くそっ!」 やっぱり策より、友達。 策は幾等でも後で変更できる。 今はただ二人に生きていて欲しい。 スネ夫はさっき、少しでもジャイアンの死を好都合と考えた自分に、 腹が立ってしかたなかった。 次へ
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「ドラえもーーーーーーーーーーーーん!!!!!!!!」 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 「……」 ――――かつて、一人の少女が「研究所」の中から脱走した。 彼女は、これまで研究所内で絶対の軟禁状態に置かれていたが、ある時、その防衛線を突破してしまったのだった。 それまで彼女は、衣服を纏う事さえ許されず、代わりに金属の拘束具で覆われ、両手両足を鎖で繋がれ、核シェルターのような厳重な研究室に「保管」されていた。 そう、彼女には人権など与えられていなかった。 人とほとんど同じ形をしているが、「ある一つの性質」が彼女を閉じ込める尤もな理由となり、その性質がこのまま彼女を死ぬまで縛ろうとしていた。 ――しかし、そんな窮屈な生活から、彼女は野に放たれたのである。 それは、「自由」であったが、彼女が明るい顔でその自由を謳歌する事など無かった。 彼女の心に芽吹いていたのは、人間への憎しみと、常軌を逸した殺人能力。 それらは結果的に、彼女は多くの人から笑顔を消し去る為に振りかざされた。 故に、彼女はそこに閉じ込められ続けなければならなかったのだ……。 警備員、研究員……何百人もの人員による警戒態勢が取られ、対処の為のマニュアルも作られていたが、その全ては徒労に過ぎなかった。 脱走した彼女は、背に生えた四本の『視えない手』で、人間の身体を貫き、破り、ばらばらに撒き散らしていった。 警備員たちは、銃を取ったが、これも全て無駄弾だった。 金属の弾丸は壁と床に落ちていくだけだ。 それらは全く効力を成さず、代わりに、引き金を引いた者たちの首が切り刻まれていった。 何十人もの命が、彼女の手で、床を血みどろに汚していった。 空の薬莢と、血の海と、運が良かった数名の研究員だけが、その隔離施設に残っていた。 彼女は、十何歳かの少女でありながら、生粋の殺人鬼だった。 それも、人間の手に負う事の出来ない、怪物じみた力を持つ――そんな、猛獣のような殺人鬼だった。 そして、人間は、そんな、怒らせてはならない殺人鬼の憎悪の業火に、膨大な油を注いでしまったのである。 “ルーシー” 彼女は、研究所でそう呼ばれていた。 それは彼女の本当の名前では無かったが、父に捨てられた彼女に本当の名前は要らなかった。 いや、それを呼ぶ者がもうこの世のどこにもいなかったのだ。 だから、彼女は、「■」という本名を棄て、“ルーシー”となった。 その性質から、親にも、友にも、愛される事なく……。 心の支えとしたものは、奪われるか、裏切られ……。 新人類“ディクロニウス”のルーシーは、角の生えた外見から、どこにあっても、侮蔑と排斥と差別と攻撃だけを受けてきた。 虐げられた者たち、捨てられた者たち、抜け出せない地獄にいる者たち……そんな人間たちでさえ、ルーシーの傍にはいなかった。 そう……彼らが自分より下の存在を探した時、そこにあったのがルーシーだったのだ。 故に、ルーシーは、この世の誰からも酷い扱いをされて今日までを生きてきた。 「――」 その果てに、彼女にあったのは、目の前の人間を殺し尽くすだけの悲しい殺人鬼としての人格だった。 これ以上ないほどにディクロニウスらしい性格を見せ続ける、無慈悲な怪物だった。 彼女も生まれ落ちた時からそうありたかったわけではない。 普通の少女として産み落とされたならば、彼女は誰かに愛されただろう。 しかし、そうはならなかった。 「――――」 そして――かつて彼女が起こした連続殺人と、全く同じ事が、この東京でも起きていた。 赤黒い鮮血の上に立つ、白い肌の何か。 そう、それは――人間を憎み、人間をほとんど無差別に殺す、冷たい瞳の少女……。 十五人分のバラバラ死体を見下ろしながらも、息一つ切らす事がない。 それは、人を殺し慣れた少女。 彼女は、『狂戦士』そのものだった。 この世に現れた時もまた、その遺伝子の声は、彼女に人を殺せと囁き続けた。 抗おうとしても、その憎悪に抗えない。 それがこのクラスで呼ばれたが故の、彼女の苦痛――。 『――――――■■■』 大事な人の名前を、いくら思い出そうとしても……。 彼女の背に生えた、『視えない手』は、今もまた、目の前の人間を殺してしまう……。 それが、このクラスで呼ばれた彼女の性質だった。 しかし、そんな彼女の心には、不満がよぎる事は無かった。 こうなった彼女がサーヴァントとして野に放たれたという事は、何れ、またかつてのように死体の山が築き上げられる……という事に違いない。 暴走し、殺戮を始めた彼女は、『彼』の住む町にも近づいていた。 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 【2日目】 ――練馬区月見台すすきが原。 この現代、『都心』というイメージを確立した東京都において、まだ何処か田舎の輪郭を残しているのが、この町であった。 信じがたい事に、町の中央には、今時珍しい裏山があり、ここには、自然が未だ多く残っている。 時折、近所の子供たちの遊び場にもなっているのだが、多くの子供は空き地や広場を使うし、普段は裏山には誰もいない。 だから、彼――野比のび太は、辛い事があるとこの裏山に来て、ただ一人、ぼんやりと街を見下ろしたりしていた。 ここには、大事な友との思い出もいくつかあった……だからだろう。 ここがいくつかの冒険の入口になった事も、ある。 しかし、その友はもういない。 (ドラえもん……) 放課後、こうして夕暮れの街を見下ろしていると、嫌な事も忘れられる。 その鈍くささや頭の悪さから、普段、学校で友達にいじめられているのび太には、忘れたい事も数えきれないほどあった。 今日も、いじめっこの「ジャイアン」と「スネ夫」の二人に、いじめられた。 それを全て、一度忘れて、時には涙を流しそうになりながら、ここでぼーっとする。 しかし……それを忘れていたならば良い。 彼が、今日まで、実際に忘れていたのは、こんな悲しい毎日の事ではなく、決して忘れてはならない事だった。 そう、たとえどうあっても忘れてはならない、友との思い出と約束。 (どうして、君の事を忘れていたんだろう) のび太はここ暫らく、ある親友の事を、すっかり忘れて生きてきた。 信じてくれる人がどれだけいるのかもわからないが、彼のもとには、22世紀からタイムマシンに乗ってやってきた、ドジなネコ型ロボットの友達がいたのだ。 その名前が、「ドラえもん」だった。 ネコ型ロボットというが、青い肌で丸っこく太っていてチビで、よくタヌキに間違えられる、そして、どこか愛嬌さえ感じさせるのび太の良き友人……それが、ドラえもんだ。 未来の世界の道具を持ち、それを使って、ダメなのび太を助けてくれる……。 のび太がだらしがないばかりに、子孫たちまで困っているので、のび太を矯正して未来を変える――それがドラえもんの使命だったのだ。 これだけ言うと、まるで本当にロボットのようだが、ドラえもんもまた、人間のような感情を持ち、人間のようにダメな所をいっぱい持っていた。 だから、のび太は彼と共に暮らしていく中で、自然とドラえもんに愛着が湧いていったのだ。 何をするにも、いつも彼と一緒だった。 喧嘩も何度もしたし、一緒に遊んで、冒険もした。 いつの間にか、のび太とドラえもんの関係は、主とロボットでも、子供と保護者でもなく、大切な親友のようになっていたのである。 親にさえ、「まるで兄弟のようだ」と言われる、二人はそんな親友だった――。 なのに。 (君との日々は、あんなに楽しい思い出ばっかりだったのに……) ……今日まで、忘れていた。 ふと、今日、いつものようにジャイアンとスネ夫にいじめられて帰ってきて、思わず口に出してしまった言葉――それが、「ドラえもん」という助けを呼びかける声だった。 それは、心の奥底に刻まれていた、かつての日常を思い起こさせる言葉であった。 その一言とともに、全ての記憶が糸を紡いでいくように思い出し、少年は今、ここにいる。 ……つまり、その瞬間まで全てを忘れていたのである。 (ドラえもんの事も、大人になったら、忘れちゃうのかな……) たとえ、九九を忘れても、漢字を忘れても、絶対に忘れる事のないような共に暮らした親友の事を、忘れるなんて……。 いじめられた事よりも、自分がドラえもんの事を、全く忘れていた事がショックだった。 それが大人になっていくという事のように感じられて、のび太は少し憂鬱気味にここにいた。 それに、いくら忘れていたからと言って、ドラえもんに助けを求めようとした自分もまた、情けなかった。 (――……) かつての、ドラえもんとの約束。 それを、ゆっくりと息を吸い込んで、目を瞑りながら、のび太は思い出す。 彼との笑顔の約束を、もう忘れる事のないように。 『ドラえもん……心配いらないよ。 宿題も、おつかいも、一人でやる。 部屋の片づけだって、ちゃんとできる』 『ジャイアンやスネ夫にいじわるされても……?』 『平気だよ、やり返しちゃうもん。 なんでもかんでも、全部、全部、全部……! 一人でちゃんとやる、やれるからさ! ……だからさ、ドラえもん。安心して、未来に帰って……!』 ドラえもんはとうに未来に帰ってしまったが、のび太は、ドラえもんなしでも強く生きていく事をかつて、約束した。 もう一人で、立ち上がれる。 ドラえもんに心配をかける事なんてない。彼に心配をかけさせたりしない。 遠い未来の世界で……この現代から繋がっているはずの未来のどこかで、のび太をきっと信じてくれているドラえもんの信頼に応える。 その為に、もう二度と、困った事があっても、ドラえもんの事を呼んではいけない。 そう思っていたのに、気づけば、こうしてドラえもんの事を頼ってしまっていたのだ。 もう、こんな風ではいけない。 (……) 塞ぎこむという程ではないが、落ち込んで体育座りしていたのび太。 そんな彼の背中に、――少女が忍び寄っていた。 血まみれの衣服で、二本の角を頭に生やした、少女。 彼女は、この練馬区内で十五人もの人の人間を殺してから、この裏山に逃げ込んでいたのだ。 この近辺には、血の海と、ばらばらに刻まれて原型をとどめない遺体が転がっている事だろう。 何者かの『サーヴァント』となり、『狂戦士』として人間を殺していた彼女は、既に自らのマスターを探していた。 ……だが、そのマスターでさえ、時に、殺すかもしれない。 それが、人間全てを憎んでいる『ルーシー』の本質だった。 人間への憎しみが……、彼女の、「内」に――。 「――にゅう!!」 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 「――……にゅう?」 のび太は、不意に背後からかかった声に振り向いた。 心臓が飛び出るような感覚であったが、振り向いた先には一人の少女がいる。 少女といっても、小学五年生ののび太からすれば、何歳も年上で、「お姉さん」という感じだ。 肌は恐ろしいほど白く透き通っていて、美人であったが、頭には何故か二本の角が生えていた。 しかし、のび太はあまり角の事は気にしなかった。 「えっ、……うわあっ!」 その少女の衣服が、膨大な鮮血によって汚されていた事の方が、ずっと目についたのだ。 少女はニコニコと笑っているが、気の弱いのび太からすれば、失神しても全くおかしくない光景である。 その血というのも、交通事故にでも遭ったかのような、殆ど服の全てが血塗りといった有様だ。 一人で裏山にいる時に、こんな少女に出会い、驚き、恐怖を抱かない筈がない。 そういえば、この東京のどこかで殺人事件が発生していたらしいが、のび太は思わずそれを連想した。 もしかすると、この近くの出来事だったのかもしれない。 一瞬、のび太の背筋に鳥肌が走る。 「にゅう!」 だが、不思議がるのび太に対し、少女は、鳴き声のように、満面の笑みでそう繰り返した。 少女は、無邪気であった。歪んだ笑みではなかった。無垢、と言い換えても良い。 のび太より年上であるものの、まるで赤子のようである。 どこか不安そうに彷徨っていたところで、人間を見つけた――故に、安心しているようだった。 「……」 のび太は、しばらく愕然として動けなかったが、彼女が血まみれでありながら、何もしてこないのをすぐに理解する。 それに、武器や凶器のような物を持っている様子は無い。 おそらく、殺人鬼の側ではなく――危害を被った側、の感じがした。 つまり、危険な状況からどうにか生きて逃げてきた女の人……という事だ。 のび太は、気を失いそうなのを必死に堪えて、彼女におそるおそる訊いた。 「も、もしかして、お姉さん……怪我してるの?」 「にゅう?」 「だ、大丈夫? まさか、ニュースでやってた殺人鬼に――」 しかし、「にゅう」とだけ鳴く彼女は、全く、質問の意図を理解していなかったらしい。 どのくらい怪我をしているのかわからないが、彼女がそれから何か身体を痛めているような素振りを見せる事はなかった。 とはいえ、のび太の頭は、そんなに冷静に働かない。 「……そうだ! とりあえず、僕の家に来ようよ! お姉さんを襲った人が、この近くにまだいるかもしれないよ……!」 本来なら警察や病院へ行くべきかもしれないが、彼はそうしようとしなかった。 それというのも、これまで彼の家には、警察や病院よりも便利な相談相手がいたから、その頃からの癖なのだろう。 現在はドラえもんは家にいないとはいえ、それでも冷静に対処してくれる身近な大人がいるのは家だ。 「ほら、急ごう!」 「にゅぅ……?」 すぐに、彼は「にゅう」の手を引いた。 そして、困惑している彼女の手を引きながら、のび太は慌てて裏山を降りていく。 ――近くに殺人鬼がいるかもしれない。 このお姉さんも襲われたのだ。それなら、すぐに、一緒に大人の人たちがいる街に逃げないと。 たとえ近くに殺人鬼がいるとしても、この人を見捨てるわけにはいかない。 この手を放して走れば、もっと早く山を下りる事ができるかもしれないが……。 「……にゅう!」 ……そうして走っていると、ふと、彼女は突然立ち止まった。 のび太の足が突然止まり、身体が後ろに引っ張られた。 「うわあ!」 彼女の力は強く、また、体重もそれなりに重く、子供ののび太が易々と手を引ける訳ではなかった。 彼女は、のび太に手を引かれて行こうとはしなかったのである。 頑とした意思でそこにとどまろう、という程ではないようだが、嫌がって大きな声を出し始めた。 「にゅう! にゅう!」 相変わらず、言葉は「にゅう」だけだったが、何かを訴えているようだった。 それを感じて、のび太がふと見てみると、彼女は、小さな繁みを指さしていた。 今度は繁みの方に目をやった。 すると、そこで、小さく、何かが動いたのだ。 「あそこに何かいるの……?」 ――彼女を襲った悪いひと、だろうか? いや、そんな訳が無かった。 殺人鬼は刺青の大人の男性、だった筈だが、そこにいるのは明らかに、小さな動物のようだ。 それで少しほっとする。 「……わんっ」 直後に繁みから姿を現し、走り出してきたのは、殺人鬼などとは縁遠い小さな柴犬である。 「な、なんだ犬かぁ……」 肝が冷えたとはまさにこの事である。 柴犬は、のび太たちの方に走り寄って来る。 あまりに小さな柴犬で、のび太は向かってくるそれをそのまま抱き寄せた。 犬の首には、赤い首輪がついている。 「うわあ、可愛い犬だなあ。きっと、飼い主とはぐれちゃったんだ」 人懐っこく、すぐにのび太の頬をぺろぺろと舐めてくる。 のび太も動物は好きだった。 そんな姿を見て、少女はニコニコと笑っている。 「にゅう!」 と、そんな時に、のび太は彼女の頭に目をやった。 犬の耳と見比べるように、のび太は女性の頭を見つめた。 犬の耳、女性の頭、犬の耳、女性の頭……交互に目をやり見比べた。 「……うん? そういえば、お姉さんも頭に耳が生えてるね。 うーん、ちょっと変わってるよ、それ」 今更、少女の頭のツノに気づいたのび太である。 彼女も、のび太が何を見ているのか理解して、困惑気味に頭のツノに触れた。 「にゅう?」 「あっ、ごめんね。耳が四つある人なんて、珍しいから。 ……でも、僕の友達なんか、ネコなのに耳が無かったんだよ。 変だけど、すっごく良い奴だったんだぁ……」 しかし、のび太は少女の特異な身体的特徴を、あまり気にしていない様子だった。 少し不思議な事を、あっさり需要できるというか、「凄く変」だと認識できない程おおらかすぎる性格だったという事だろう。 そうしていると、ふと、少女がじっとのび太の顔を眺めている事に気づいた。 そういえば、ここに逃げてくるまで、彼女に自己紹介もしていない。 だから、困惑しているのだ。 「あ、そうだ。僕は、野比のび太だよ」 「ノビ……ノ、ビ、タ……?」 「うん! お姉さんは?」 「にゅう!」 「にゅうじゃわかんないなぁ」 「……にゅう」 「……あ、そうか! もしかして、『にゅう』っていう名前なんだ!」 「にゅう!」 彼女は、相変わらず満面の笑みで返した。 つまり、彼女の名前は「にゅう」で合っているらしい。 言葉は伝わっていないようだが、ジェスチャーで何となく会話が伝わっている。 動物になつかれやすいのび太は、そのまま、動物のようなこの少女になつかれやすいというようだ。 「――って、こんな話をしてる場合じゃないよ! さあ、急ごう、にゅう!」 「にゅう!」 「わんっ」 犬を抱いたのび太とにゅうは、そうしてまた、山を下りる為に駆け出した。 ――――――のび太は、その手を握っている相手が、この練馬区で十五名を殺害した殺人鬼である事など、まだ知る由もない。 【CLASS】 バーサーカー 【真名】 ルーシー/にゅう@エルフェンリート 【パラメーター】 筋力B 耐久C 敏捷D 魔力D 幸運E 宝具EX 【属性】 混沌・中庸 【クラススキル】 狂化:C- 耐久と幸運と魔力を除いたパラメーターをランクアップさせるが、「DNAの声」に乗っ取られやすくなる。 また、常時も「ルーシー」、「にゅう」、「DNA」の三種の人格が変動し、情緒は安定しないと言える。 更に、ルーシーの状態での人間への憎悪も、克服した分や抑えた分も含め、『狂戦士』のクラスで呼ばれた為に高まっており、抑えづらくなっている。 ただし、それは彼女が新たに触れる人間によっては左右されるかもしれない。 【保有スキル】 二觭人:A 新人類「ディクロニウス」。 卵ほどの大きさに発達した松果体、二本対の角の特徴を持ち、ベクターと呼ばれる見えない複数の腕を持つ。 彼女のベクターは、射程が2mと短いが、異常な筋力を持ち、人間の四肢を容易く引きちぎり、手刀で切り刻む事が出来る。 また、ディクロニウスは人類への憎悪と情愛を同時に持ち合わせており、『狂戦士』のクラスで呼ばれた場合、憎悪が情愛に勝りやすくなる。 遺伝子の声:A 人類を絶滅させる為の人格。 ルーシー、にゅうの二つの人格に加えて発現し、人類滅亡の為に動き出す。 狂化が進むとこの人格に乗っ取られ、他者への無差別な殺害を始める。 治癒細胞:B 宝具を用いた治癒機能。 細胞と細胞を繋ぐ事で相手の身体を治癒する。 気配遮断:(C) 自身の気配を消す能力。 完全に気配を断てばほぼ発見は不可能となるが、攻撃態勢に移るとランクが大きく下がる。 本来はアサシンのクラス特性だが、バーサーカーの場合、「にゅう」の人格に移った場合に自動的にこのスキルが付与される。 ただし、「にゅう」の人格の際に戦闘をするのは困難であり、暗殺や偵察等の為に使用する事はまず出来ない。 【宝具】 『視えない手(ベクター)』 ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:2~ 最大捕捉:1~ ディクロニウスである「ルーシー」が持つ背中の「透明な手」。 通常の状態では人間に見ることはできないが、波動が強いときに限り視認できるようになる。 高周波による微振動を発生することで物を切断することが可能となり、人間の殺傷などに用いることができ、多少熟練すると外傷なく内部の血管のみを引きちぎって殺害することも可能。 応用として銃弾、爆風などの物理攻撃をそらせることもできるが、鉄球など質量が大きく運動量の高い攻撃はそらしきることができず、減速してダメージを抑えている。 また、同じ宝具を戦わせる場合は防ぐこともそらすこともできないが、互いに掴むことはできる。 力が強ければ物理的に人類を滅ぼす事が可能だが、細胞同士を繋ぐ力を使っているためあまりに使いすぎると自身の体組織が崩壊してしまう。 ルーシーの射程距離は、通常は2m~5m程度であるが、狂化によって宝具が暴走した場合、射程距離は無限に伸び、最高で宇宙までも伸びる(ただし、前述の体組織崩壊や多大な魔力消費はある)。 『妖精の奏でた哀歌(エルフェンリート)』 ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:- ルーシーの持ち合わせる、微かな理性。 人間を憎悪する彼女がこれ以上憎悪する事のできない相手に齎される、心の揺らぎ。 その不幸な生い立ち故に人間を憎悪するようになった彼女は、この宝具がある限り、他人を愛する心を思い出す事が出来る可能性を常に持ちうる。 この宝具は、形を持たず、ルーシーの理性が芽生えつつある時、「歌」として口ずさまれる。 そして、もしかしたら、この宝具によって、彼女の『バーサーカー』としてのクラスから別のクラスへのクラスチェンジできるかもしれない。 【weapon】 『視えない触手(ベクター)』 【人物背景】 現人類を絶滅に追い込むことのできる新人類「ディクロニウス」のオリジナル。唯一生殖機能を持った個体。 研究所を脱走した際に頭部に受けた衝撃が元で人格が分裂、「にゅう」の人格が生まれる。 それ以来、頭部に衝撃を受けると「ルーシー」の人格と「にゅう」の人格が入れ替わるようになる。 ルーシーは、冷徹非情に人を殺す殺人鬼の人格であるが、にゅうは、赤子のように無邪気で「にゅう」以外は単純な言葉しか話せない。 ルーシーは、幼くして父親に捨てられた後、養護施設で幼少期を過ごした。 角のせいで他の子供達に虐められ、やがて内緒で飼っていた犬をいじめっ子に目の前で殺されたのをきっかけにベクターが発動し、施設の子供達を惨殺し逃走。 その後は人を殺して一夜の宿を得たりしながら彷徨っていた。 本編開始の8年前に鎌倉へ家族で遊びにきていたコウタと出会い、初めは彼を拒絶していたが、自分の角に偏見を持たないどころか「かっこいい」と評価し一緒に遊んでくれたコウタに心を開き、彼に好意を抱くまでになった。 だが、夏祭でユカに抱きつかれているコウタの姿を見た際コウタに裏切られたと勘違いし、ここで初めてDNAの声に従ってその場にいた無関係な人々を殺害。 更にその後、帰りの電車に乗っていたコウタの前に現れ、コウタの目の前で彼の妹と父親を惨殺してしまう。 しかしコウタへの想いは長年持ち続けており、それが最終的にはDNAの声に逆い自らを滅することに繋がった。 その後は研究所に捕らえられ数年間厳重に拘束されていたが、角沢教授の画策により移送中に逃亡し、「にゅう」の状態でコウタと再会する。。 ルーシーは無差別に殺害を行う存在であるものの、犬などの小動物は襲わない。 人間に対しても、時折殺害を躊躇する事がある。 【サーヴァントとしての願い】 ????? 【備考】 現在の人格は「にゅう」の状態です。 ルーシーの状態で、練馬区内で15人を殺害した後、「にゅう」になって、裏山にやって来ました。 【マスター】 野比のび太@帰ってきたドラえもん 【マスターとしての願い】 なし。 (現状、聖杯戦争について理解していません) 【weapon】 『ダルマ』 亡き「おばあちゃん」にもらったダルマ。 何度倒れても起き上がる事ができるように……という約束が込められている。 野比家の押入れの中にあり、時としてのび太を勇気づける。 ×『ドラえもんが現代にひとつだけ残した道具』 ドラえもんが、唯一、現代に残したひみつ道具。 ただし、これは、この世界に持ち込まれていない。 故に、ドラえもんが帰って来る事はこの世界にいる限りは、絶対にありえない。 【能力・技能】 射撃、あやとり、昼寝において史上最強クラスの腕を持つ少年。 もうドラえもん抜きでも、ジャイアンに勝つ事ができる(と、良いのだけど……)。 【人物背景】 勉強も運動もまるでダメな小学5年生。 そんな何をやってもダメで意思が弱い性格の一方で、心優しく、いざという時には勇敢な一面も見せる。 彼を教育する為に未来からネコ型ロボット・ドラえもんが派遣され、ドラえもんの持つふしぎな道具を使って、彼の人生は少しずつ変化を伴う。 そうしてドラえもんとの楽しい日常は続いていたが、ある日、突然、ドラえもんは未来に帰る事になってしまう。 最初は大事な親友がいなくなる事を拒絶し、泣いていたのび太であったが、「のび太が心配で未来に帰れない」という心配を抱いていたドラえもんの本心を知ったのび太はある決意をする。 そう、いつものび太をいじめていたジャイアンを、自分の力だけで倒し、もうドラえもんがいなくても一人前だと証明する事である。 「喧嘩ならドラえもん抜きでやろう」 「僕だけの力で、君に勝たないと……」 「ドラえもんが安心して……」 「未来へ帰れないんだ!」 何度倒れても諦める事なく、ジャイアンに挑み、そして、勝利するのび太――。 ドラえもんは、そんなのび太の姿を見ていてくれた。 その翌朝、目が覚めたら、そこにはもう、ドラえもんの姿はなく、未来と今とをつなぐ机の引き出しは、ただの引き出しになっていた……。 参戦時期は、劇場版『帰ってきたドラえもん』にて、ドラえもんが未来に帰ってから、エイプリルフールまでの間。 【方針】 この女の人と一緒に家に帰ろう。 近くに殺人犯がいるかもしれない。 候補作投下順 Back アルフォンス・エルリック&セイバー Next ルーラー/セフィリア=アークス
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前へ 一行はアサギに着いた。 スネ夫「どうする? 今すぐ皆で灯台に行くかい?」とスネ夫は訊いた。 もちろん、他にすることは無かったし、のび太にとっても全くデメリットは無かったので、そのまますんなり行くことは決まった。 ジャイアン「なかなか長い灯台だな。」 スネ夫「ジャイアン、ここに寄らずにタンバに来たの?」 ジャイアン「ああ、町の端っこにあるし忘れてた。」 ドラえもん「僕も初めて来たよ。」 スネ夫「と、いうことは、ここを通ったのは、僕だけ、もしくは僕としずかちゃんだけか……。みんな!ちゃんと僕に着いて来てよ!!」 スネ夫は以前灯台を登ったことがあることを良いことに、勝手にリーダーシップを取っていた。 スネ夫「ところでのび太は?」 と、スネ夫が訊いた ドラえもん「あれ、のび太君がいない!」 ジャイアン「大方息が切れて休んでるんじゃないか?」 スネ夫「のび太らしいねwww」 二人の間でいつも通りのやりとりが行われる。 ドラえもん「いや、単独行動はやっぱり危険だ。時間犯罪者の攻撃があるからね。 戻ってのび太君を探そう。 」 ジャイアンとスネ夫は、ドラえもんの言葉で、今の危険な状況を思い出し、文句も言わず、もときた道を引き返した。 三階程下に降りたとき、一行はすぐにのび太を発見した。 のび太は船乗りに絡まれていた。 スネ夫「戦いそびれたトレーナーがいたのか」 ジャイアン「あのバカ!」 のび太『ちっ!奴ら来たのか。これじゃあノートで殺せないじゃねぇか。』 船乗り「俺は船乗りのヨシト! メガネのボウズ!勝負だ!」 と、言うとうむをいわさずニョロゾを出してきた。 のび太『面倒だな……。こっちの手持ちはポッポとケーシィ。 ここで俺が直々に戦うのも避けたいしな。 まあなんとかするか。』 のび太「行けっ!ケーシィ!」 のび太はケーシィを繰り出した。 ヨシト「ケーシィか……。 ニョロゾ!!みずでっぽう!」 ニョロゾはみずでっぽうを放った のび太「テレポート!!」 のび太が指示を出した瞬間、ケーシィは消えみずでっぽうをかわした。 ヨシト「ちくしょう……。またみずでっぽうだ!」 しかしまたも、ケーシィはテレポートでかわした。 ヨシト「ちょこまか、ちょこまかしやがって!」 気が短いようであるヨシトは、みずでっぽうを乱射させた。 しかしそれもテレポートにかわされる。 ジャイアン「イライラするなあ。俺が一発で終わらせてやろうか。」同様に気が短いジャイアンもイライラしてきた様である。 ドラえもん「まあまあ」 そんなジャイアンをドラえもんがたしなめた。 依然みずでっぽうをテレポートでかわし続けるケーシィ。 ケーシィのテレポートに翻弄され続けニョロゾにも明らかに疲労の色が見えていた。 16回目のみずでっぽうをかわされたとき、あることがヨシトの頭の中に浮かんだ。 ヨシト『こいつまさか、テレポートしか使えないんじゃ…… しかしテレポートしてるだけじゃ勝てない。何を考えてるんだ?』するとヨシトはあることを閃いた。 ヨシト『わるあがきだ……。 成程。奴がテレポートで技をかわし続けるのはニョロゾの疲労を誘うと同時に自らのPPを削り、奇襲するため。 疲労しているニョロゾならば傷薬の大量使用で頑張れば勝てるかもってとこか? それなら、こっちだって手はある。 奴は最期のテレポートからすぐにわるあがきに繋げるに違いないから、一発はわざと食らって、逃げれなくなったとこを捕まえて、おうふくびんたで連続攻撃。 傷薬など使う暇を与えない!』 ニョロゾは、20回目のみずでっぽうを放った。 当然のようにケーシィはそれをテレポートでかわした。 そして、ケーシィはニョロゾの背後に現れた。 ヨシト「計画通り!!! 一発はわざと食らって、おうふくびんた!!!」と、ヨシトが言った。しかし、のび太の一言は、ヨシトが全く予期せぬものだった のび太「ケーシィ!ずつき!」 ケーシィはそのまま頭突きをかました。ニョロゾは疲弊していたのでそれをまともに食らった。 ヨシト『なにっ!こいつテレポートしか使えないんじゃなかったのか!?』 ヨシト「くっ!いや、ニョロゾ!落ち着け!そのまま捕まえておうふくびんただ!」 と、ヨシトは言ったがニョロゾは、今の攻撃でひるんだ。 のび太「ケーシィ!そのままずつきだあ」 何発もの頭突きが命中し、ニョロゾは倒れ、戦闘不能に陥った。 その瞬間ケーシィは体を小刻に振るわせ、体が光り始めた。 突然の事に、今だ驚きを隠せないヨシトに向かってのび太は言った。 のび太「テレポートしか使えないと思って油断したんだね。 それは、ただ一つの攻撃技、「ずつき」を受けさせる為の罠だったのさ。」 その後の展開は、一方的だった。 ヨシトのメノクラゲとドククラゲは進化したユンゲラーのねんりき一発ずつで沈んだ。 ヨシト「完敗だ! まさかあれ程のレベル差を知恵で覆すなんてな! また戦おうぜ。」 のび太『キシシシシ。次なんてねぇけどなwww』のび太は既に、ヨシトの手持ちと名前を知っている。もうヨシトの命はのび太の手に握られていた。 ジャイアン「遅いぞ!のび太!!!」 のび太「ごっ、ごめ~ん。」 のび太『今、ここで殺る訳にもいかないか。』 一行は、また頂上に向かった。 途中、またのび太が何人かのトレーナーに絡まれたが、なんとか撃退し、頂上へ着いた。頂上には必死にデンリュウの看病をする一人の少女がいた。彼女が言わずも知れたアサギジムリーダー、ミカンだった。 ミカン「あっ、秘伝の薬を持ってきてくださったのですね。」 そう言われたスネ夫は薬をミカンに手渡した。薬を使われたデンリュウはみるみるうちに元気を取り戻した。 ミカン「みなさん。ありがとうございます。これで安心してジムに戻れます。」 彼女はそう言い、灯台から降りて行った。一行はそれを見届けた後、相談を始めた。 スネ夫「ミカンは鋼タイプの使い手だったよね。」 ジャイアン「ああ。」スネ夫「僕がいくよ。マグマラシがあるから、上手く行けば一匹で完封出来るだろう。」 ジャイアン「俺に戦わせろ!!」 ジャイアンがいきり立ったが、すぐにドラえもんに鎮められた。 ドラえもん「今はそんな状況じゃない。 とにかく、先にバッジを取ることを優先させるべきだ。 もたもたしてたらまた、ジムリーダーを殺されてしまう。」 ドラえもんの一言もあり、結局一行はセオリー通り、炎タイプのポケモンが主力であるスネ夫で挑戦する事にした。 一行はアサギジムにやってきた。 ジム内には、唯一人、少女が立っていた。 ミカン「さっきはありがとうございました。 でも勝負となると、話は別です。さあ、誰が私と戦うのですか?」 スネ夫「僕だ!!! 鋼ポケモンなんて炎で一撃さ。」 スネ夫は鋼ポケモン使いに対してかなり失礼な発言をしたがミカンは眉一つ動かさず言った。 ミカン「わかりました。 勝負は3対3でいきましょう。 いきなさい。レアコイル!」 ジャイアン「ゲームと違うじゃねぇか!」ジャイアンは予想外のポケモンに驚いた。 スネ夫「そんなこと何度もあったさ。 所詮鋼。炎で一発! 行けっ!マグマラシ!」 スネ夫は速攻で勝負を決めるため、マグマラシを繰り出した。 ミカン「マグマラシ……。 早速弱点ですね。レアコイル、でんきショック!」 レアコイルから大量の電撃が放たれ、それがマグマラシを襲う。 マグマラシはそれをまともに食らったがなんともないようだった。 ミカン「まもる……ですね?」 ミカンがそう呟いたとき、既にスネ夫はマグマラシにかえんぐるまの指示を出していた。 豪火がレアコイルを襲い、レアコイルは倒れた。 ミカン「戻って、レアコイル。」 ミカンはレアコイルを戻した。 スネ夫「どんなもんだい!!」 ジャイアン「弱点をせこく突いてるだけなのにな。」 スネ夫は喜んだが、戦えなかったジャイアンは冷たく言い放った。 ミカン「やはり弱点は辛いですね。」 スネ夫「どんな奴が来たって燃やしちゃうよ。」 スネ夫は勝ち誇ったかのように言った。 ミカン「そんなことないですよ。 今までアサギには山ほどの炎ポケモン使いが訪れてきました。 私だって、学習するし、成長します。 次のポケモンは、その炎ポケモンに対する回答です。 いきなさい、ハガネール。」 そうミカンが言うと、とても巨大な鋼鉄の蛇が現れた。しかしスネ夫はそれを見ても落ち着いていた。 スネ夫「なあんだ。ハガネールか。ゲームと一緒じゃないか。 それじゃあまり変わらないよ。 マグマラシ、かえんぐるま!!」マグマラシの豪火がハガネールを襲う。しかし、 ミカン「いわおとし!」 ハガネールが尾を振ると無数の岩がマグマラシの前に落ち、炎を遮った。 スネ夫「くっ!炎が届かない! それなら、でんこうせっかで肉弾戦だ!」 マグマラシは素早い動きで岩の回りを回りこみ、ハガネールに激突した。しかし、ハガネールには全くダメージがなく、長い体で捕まってしまった。 ミカン「愚かな……。 ハガネールの防御力は絶大。並の攻撃ではびくともしません。 ハガネール、いつものを。」 ミカンがそう言うと、ハガネールはその大きな体でマグマラシを包みこんだ。 一ミリの隙間もない程に。 スネ夫「マグマラシ!」 ミカン「こうなってしまってはどうしようもありません。 投了を勧めます。」 ミカンがそう言うと、スネ夫は不敵に笑った。 スネ夫「くくく…… 逆にさ、包まれたことで的に近くなったと思わない? マグマラシ! 奴の体の中でかえんぐるまだ!!」 ドラえもん「スネ夫君、なんて無茶するんだ! それじゃ、マグマラシも燃えちゃう!」 ドラえもんが叫んだ スネ夫「大丈夫。マグマラシは炎ポケモン。炎技は効果がいまひとつ。 先にハガネールがやられるさ。」 ミカン「投了しませんか……。残念ですね……」 スネ夫の指示通り、マグマラシはかえんぐるまを放った。 ハガネールの顔は苦痛で歪んでいる。 ジャイアン「効いてるみたいだぜ」 スネ夫「へへっ。どうだ!」 スネ夫が言った瞬間、ハガネールの様子がおかしくなった。苦痛で歪んでいた顔がまた平然となっている。 ミカン「……ハガネール。 もうそろそろ止めてください。」 そう言うと、ハガネールは、マグマラシを包んでいた体を元に戻した。 ハガネールの中からは、ぐったりしているマグマラシが出てきた。 スネ夫「マグマラシ! なんで………」 スネ夫はマグマラシに駆け寄った。 体には火傷はおろか、外傷の痕も全くない。 ミカン「確かにあなたのマグマラシは、自らの炎に耐えました。 しかしあのびっちりと密閉されているハガネールのしめつけるの中は、空気を通す隙間もありません。 あなたのマグマラシの炎は、その中の酸素を全て燃やし尽し、酸欠状態に陥ったのです。」 マグマラシは最早、戦闘が出来る状態ではなかった。 唯一の炎ポケモンであり、スネ夫の主力であるマグマラシを失った今、スネ夫はもうミカンのハガネールに、手も足も出なかった。 五分後、スネ夫はハガネールに完封されてしまい、一行はアサギジムを後にした。 スネ夫「あのハガネール、炎が効かないなんてずるいよ~」 ドラえもん「どうする、早く倒さないと、また時間犯罪者に先を越されてしまう……」 のび太『殺って奪おうにも、最後の一匹がわからない……。』 三人は頭を悩ませた。 そこで唯一人の悩まない男、我等がガキ大将が口を開いた。 ジャイアン「やっぱりここは俺にまかせろ!」 スネ夫「ジャイアン、勝算はあるの?」 スネ夫が訊いた。 ジャイアン「は?勝算? なんだ。それは?」 ジャイアンは答えた。 スネ夫『……………。』 スネ夫は昔の事を思い出していた。 ああ僕は今までこいつの無茶に何度苦しめられてきたことだろう。危ないといっているのにラジコンの無理な操縦でかみなりさんの家のガラス割ったり(僕が謝りにいった)、こないだもも、 スネ夫「見て、ジャイアン、ウソッキーの体力があと僅か。捕まえられるよ♪」 ジャイアン「どれどれ、ちょっと貸せよ。 あっ、もう少し弱らせられるな。えーと、はかいこうせんかな?」 スネ夫「あああああっっっっっっっ!!! ………ちくしょう」 余談だがスネ夫はウソッキーをじわじわ弱らせる行程に三時間程、時を費やしていた。 スネ夫『きっと、即負けて、時間犯罪者に先を越されて現実に帰れなくなるんだ……』 スネ夫が悲観に暮れているとき、突然、ドラえもんが閃いたように言った。 ドラえもん「あるっ! 炎以外でミカンの鋼ポケモンに対抗できる手が!」 ドラえもんが言った。 スネ夫「なにさ、それ。」 スネ夫は怪訝そうな顔で訊いた。 ドラえもん「それはね、ちょっとのび太くん…………」 ドラえもんの説明で時間が数分経った。 スネ夫「成程……」 のび太「僕にとってもいい話だね。」 ジャイアン「その通りにすればいいんだな。」とジャイアンは訊いた。 ドラえもん「うん、不確定要素はミカンの最後のポケモンだけど、ハガネール、レアコイルは確実に倒せる!」ドラえもんは言った。 ジャイアン「成程!腕が鳴るぜ!」 ドラえもん「とりあえず準備だね。 僕とスネ夫君は砂浜で、例のポケモン捕まえてきてジャイアンに貸すから。 のび太君とジャイアンは、例の事をしておいて。」 三人「わかった!!」 のび太『キシシシシ。 これでまた俺も戦力アップだ。』 さあジャイアンは、ミカンに勝つ事が出来るのか、そして、ドラえもんの作戦、のび太の企みとは!? 次の日、一行はまたアサギジムにやってきた。 ジャイアン「たのもー」大柄な少年は勢いよく扉を開けた。つい最近掃除したらしく昨日に比べてジム内は綺麗になっていた。 ミカン「またいらっしゃったんですか?今日はどなたが相手をして下さるのですか?」 ジャイアン「俺だ!!俺は昨日の奴が一万光年修行しても勝てないレベルだぜ!!」 ジャイアンはどこかで訊いたような言葉を吐いた。 ミカン「勝負の形式は昨日と同じでよろしいですか?」 ジャイアン「問題ねぇ!!!」ジャイアンは即答した。 ミカン「わかりました。いきなさい、レアコイル!!!」 ミカンはレアコイルを繰り出した。 それを見たジャイアンはお見通しだとばかりに、ニカーとしている。歯に海苔がついている。 ジャイアン「やっぱり、そいつで来たな! 行けっ!カイリキー!」 ジャイアンがそう叫ぶと四本腕の筋肉質のポケモンが出てきた。 昨日のうちに、のび太と通信進化をしておいたのだ。同様にのび太のユンゲラーはフーディンになっていた。 ミカン「カイリキーですか…… レアコイル、10まんボルト!!」 ジャイアン「カイリキー!!クロスチョップ!!」 レアコイルの電撃が、カイリキーに命中した後、カイリキーはレアコイルにきつい一撃をお見舞いした。レアコイルのボディにヒビが入り、レアコイルは倒れた。 ジャイアン「やったぜ! 見たか!鋼の弱点は炎だけとは限らない!」 ミカン『成程……カイリキーの攻撃力ならレアコイルを一撃で倒すことも不可能じゃない………』 ミカンはレアコイルをボールに収めた。 ミカン「多少対策はしてきたようですが、そんなに私が甘いものと思ってもらっては困ります。 いきなさい、ハガネール。」 昨日に続いてまた、巨大な鋼の蛇が現れた。しかしジャイアンは動じない。 ジャイアン「そいつの対策もバッチリさ。」と、ジャイアンは不敵に笑った。 ミカン「そうでしょうか?残念ながらハガネールは鉄壁の防御力を誇ります。 弱点であろうと、物理攻撃ではほとんど有効なダメージを与えられませんよ。」とミカンが言った。しかしジャイアンは、 ジャイアン「だから対策はバッチリだっていってるだろ。 戻れ!カイリキー。 そして、行けっ!ストライク!」 ミカン「ストライク………。 私の話を聞いていたのですか? 物理攻撃は効果が薄いと言ったでしょう。 これならまだ弱点をついている分、カイリキーの方がマシです。」 ジャイアン「何度もいわせんな!対策してきたと言ってるだろ! 俺はこいつでいい。 行けっ!でんこうせっかだ!」 そうジャイアンが指示をするとストライクは凄まじい早さで距離を詰め、ハガネールに斬りかかった。 しかし 「ガチッ!」 虚しいことに、ストライクの一撃は全くハガネールにダメージを与えることなく、逆に捕まってしまった。 ミカン「だから言ったでしょう。 ハガネール!またあの時のようにしめつけなさい。」 そうミカンが指示を出すと、ハガネールはストライクを包むようにして、また、あのしめつけるの状態に入った。 ミカン「どうしょうもないでしょう。 このまま、中の酸素を吸い付くし、酸欠になるまで待たせてもらいますよ。」 ハガネールの中では、ガチッ、ガチッとストライクが、斬りかかっている音がする。 ジャイアン「ところでさ。俺たちが助けた、デンリュウって今、元気か?」突然のジャイアンのバトルに関係のない質問に、ミカンは戸惑ったが、 ミカン「今はバトル中です。終わったら話しましょう。」 ジャイアン「いや、今知りたい。」 ミカン「後で、と言ってるでしょう!!」 ミカンが大声で返答したとき、ハガネールの様子が突如、おかしくなった。 体を振るわせ顔は苦痛で歪んでいる。 ミカン「なっ、なんで!」ミカンは珍しく取り乱した。 ジャイアン「ストライクに中で、れんぞくぎりをさせているのさ。」ジャイアンは言った。 ミカンは、はっ、とした ミカン『成程…… 当たる度に威力が二倍になるれんぞくぎり…… 高い防御力を誇るハガネールといえど、何度も何度も斬られたら、ダメージを受けることは、明白……。 恐らくさっきの会話も、時間を稼ぐと共に、れんぞくぎりを悟らせないためのもの。』ミカンは焦っていた。 ミカン「仕方ないです! ハガネール!もっと高圧でしめつけなさい!」 指示通り、まるでストライクを圧縮するかのようにしめつけた。 ミカン「本当はハガネールのボディにも負担をかけるためしたくなかったのですが…… しかし、れんぞくぎりは途絶えました。 これで終りです!」ミカンがそう言ったが、しかし、ジャイアン達の作戦はまた、その上をいっていた。 ジャイアン「そんなこともあろうかと、もう一つの作戦だ! ストライク! 手筈通りに……」 ミカン「? 何をする気?」 ジャイアンが何かを確認するとドラえもんが叫んだ! ドラえもん「ジャイアン、今だ!」 そしてミカンは、信じられない言葉をきくことになった。 ジャイアン「だいばくはつ……!」 ミカン「だっ、だいばくはつですって!!!!!」 ミカンが、そう言った瞬間、 「ドガーーーーン!!!」 と、いう音と共に、ハガネールの腹部から想像を絶する、爆発が起きた。 ミカン「な、何故……」 信じられないといった顔付きで、事態を目のあたりにしているミカンに、ドラえもんが言った。 ドラえもん「確かに、ただのだいばくはつでは、圧倒的高さを誇る、ハガネールの防御力を看破することなんて出来ない。 だからこちらも頭を使わせてもらった! 普通、物体が爆発するとき、爆発は四方に広がるが、物体を圧縮することによって、威力は収束し、爆発力を増す! ハガネールの高い圧縮力を逆に利用させてもらった!」そうドラえもんは言ったが、ミカンの疑問は全く晴れなかった。 ミカン「私が驚いているのはそんなことではありません! それくらい想定の範囲内ですし、相手が爆発系の技を使うときは、警戒して、しめつけるを使いません! 私が驚いているのは、何故ストライクがだいばくはつを使うことが出来るのかということです!」 と、ミカンはまくし上げたがその謎をすぐに明らかになった。 そのやりとりの内に、砂煙は消えていった。 そこには、ハガネールが倒れていた。腹部の損傷が激しく、戦闘はもう、出来そうになかった。 ミカン『やはりやられてましたか………』 しかし、よく目を凝らしてみると、ハガネールの横で何かが倒れている。 赤と白の丸いボディ。どこからどう見てもストライクには見えなかった。 ミカン「ビリリダマ!?」 ミカンは叫んだ。 スネ夫「種明かしをしようか?」 スネ夫が言った。 スネ夫「最初から僕達はハガネール対策用だいばくはつ作戦のみを計画していた。 しかし僕達は考えた。もし、素でビリリダマを使った時、しめつけるを使わずに地面技で一撃でやられるおそれがある。 なら相手を警戒させず確実にしめつけるを使わせ成功率を上げるために、何かもうひと捻りする必要があった 。そしてある技を選らんだんだ。」 ミカン「まさか!」 スネ夫「そう。バトンタッチさ。」 ミカン『バトンタッチ…… バトンタッチは普通、補助効果の伝達の為に使われる。 しかし忘れがちなある利点は、ポケモンの変更が不可能な時も、ポケモンが自ら入れ替わってくれること。 まさかこんな使い方もあったとは…… すごい……』 確か、ストライクはバトンタッチを通常、覚えない筈だが、大方タマゴ遺伝等で覚えさせたのだろう。 ミカンはジャイアン達の戦術を称賛するとともに自らの戦術が完全に上をいかれていた事実に気付いた。 これはジムリーダーとして最も屈辱的なものだった。 ミカン「戻りなさい。ハガネール。」 ミカンはハガネールをボールに収めた。 ドラえもん「ジャイアン!! あと一匹だよ!」 ジャイアン「おう! さあ、最後のポケモンを出せよ!」 ジャイアンが急かせた。 ミカン「わかりました。 本当はこの子を出したくはなかったのですが仕方ありません。 いきなさい、アカリちゃん」 そう言うとミカンはデンリュウを繰り出した。 ジャイアン「そっ、そいつって……」 ジャイアンが驚いたがミカンは淡々と答えた。 ミカン「そうです。 この子はあなたがたに救って頂いたデンリュウです。その節はありがとうございました。しかし、勝負となると話は別です。さあ、あなたもポケモンを繰り出してください。」 デンリュウは灯台の時が嘘のようにハツラツとしている。 ジャイアン「いいのか? 怪我しても、薬はもう取りに行ってやらねぇぞ。怨むなよ。 行けっ!ストライク!」 ジャイアンは再びストライクを繰り出した。 スネ夫「ドラえもん…。どうしてジャイアンは先にストライクを出したの? 弱点なのに。」 と、スネ夫が訊いた。 ドラえもん「恐らく、かげぶんしん、こうそくいどう、つるぎのまいを、した後に、またバトンタッチを決める気だろう。 病みあがりで動きの鈍いデンリュウは、高速で移動しながら、かげぶんしんをする標的に攻撃を、当てるのはさぞ難しいだろうからね。」 そしてドラえもんの予想通り、ジャイアンはストライクにかげぶんしん、こうそくいどうを命じた。 たくさんのストライクが高速で移動している。 ミカン「厄介ですけど仕方ないですね…… アカリちゃん!眠りなさい!」 予想外のミカンの一言にジャイアンは驚くというより寧ろ憤慨した。 ジャイアン「やる気あんのかよ!! 起こして勝負しやがれ!!」 と、ジャイアンは言ったがミカンはひょうひょうとしている。 ミカン「実は、アカリちゃんは今、病み上がりでコンディションが優れないのです。体調回復も立派な戦い。それにあなたの戦術は読めてます。 今の内にいくらでも補助効果を積んでください。」 このミカンの挑発ともとれる一言にジャイアンの怒りが爆発した。 ジャイアン「ストライク! かげぶんしんとかこうそくいどうとか止めろ! つるぎのまいつるぎのまいつるぎのまいつるぎのまい………防御は性にあわねえ!」 ジャイアンは無茶苦茶にただつるぎのまいを繰り返させた。 ストライクの攻撃力が最大まで上がったとき、アカリちゃんは目を覚ました。 ミカン「補助効果は積み終わりましたか。 じゃあ始めましょうか。」 ジャイアン「終わったな。 一撃で倒してやる! ストライク!バトンタッチ!」 ストライクのバトンタッチが決まり、フィールドに、カイリキーが立った。もちろん、ストライクの補助効果を受け継いでいる。 スネ夫「すごい!ジャイアン! 当たれば一撃で倒せるね」 ジャイアンの作戦を賛美するスネ夫にミカンがクスリと笑いかけた。 ミカン「当たれば……ですけどね?」 ジャイアン「何いってんだ!? 目にもの言わせてやれ! カイリキー!からてチョップだ!」 カイリキーの凄まじい威力の手刀がデンリュウに襲いかかる。 しかしミカンは落ち着いて対応した。 ミカン「アカリちゃん……フラッシュ」 ミカンがそう指示を出した瞬間、デンリュウの体から目が潰れんばかりの光が放出された。 「バガーーン!」 音からしてカイリキーのからてチョップは地面に命中したらしい ジャイアン「くっ、何も見えねえ!」 ミカン「アカリちゃん。でんきショック。」 ビリリッという音と共に、カイリキーの鳴き声が聞こえた。 まともにヒットしたらしい。 ドラえもん「バカな!フラッシュをしながらでんきショックを放っただって!」 ドラえもんが驚いた。 デンリュウの体からは常に強い光が放出されていて目も開けられない。 ミカン「通常フラッシュは、一瞬だけ強い光をだし、目をくらます技です。 しかし、灯台の光として特殊に訓練された、アカリちゃんは、フラッシュの光をずっと出し続ける事が出来るのです。」 そう言って、ミカンはサングラスをかけた。 ミカン「アカリちゃん!またでんきショック!」 それはまた、カイリキーにヒットした。 ジャイアン「くそっ!全く見えねえ!」 デンリュウのフラッシュはカイリキーだけでなく、ジャイアンやドラえもん、スネ夫、のび太のミカン、デンリュウを除く全員の目をくらまさせていた。 ジャイアン「くそっ!目も全く開けられねぇ。 仕方ない!カイリキー!あたりに攻撃をしまくれ!」 カイリキーは身の周りのものを殴りまくった。 しかし、それは一発もデンリュウにヒットすることはなかった。 ただ砂埃がたち岩がパラパラと舞うだけ。 ミカン「どんなに高い攻撃力もあたらなければ意味がないです。 さあ、止めです。」 ジャイアン『ヤバい。やられる…… なんとか、奴の場所を探る方法は…… そうだ!カイリキーのパワーを利用して……』 デンリュウはカイリキーに止めを刺そうと、電気を溜め始めた。 ミカン「今です!でんきショック!」 デンリュウの電撃がカイリキーに飛んだ。 ジャイアン「今だ!いわくだき!」 通常、いわくだきはあまり威力の高い技ではなかったが、攻撃力補助を受けていてしかも元の攻撃力が高いカイリキーが放てば話は別。 空中に大量の石が舞い、カイリキーを電撃から救った。 電撃により砕けた石がパラパラと舞い、カイリキーに当たった。 ジャイアン「今だ! 石がぶつかった方へこわいかお! そして、クロスチョップだ!」 カイリキーのこわいかおに、デンリュウは一瞬体が固まった。 そして、カイリキーのクロスチョップをまともに食らってしまった。 ミカン「アカリちゃん!!!」 攻撃を受けたデンリュウは壁にたたき付けかれもう動けない状況に陥ってしまった。 ミカンは暫し、呆然としていたがやがて口を開いた。 ミカン「私の負けですね。 では約束通り………」 そう言うと、ワンピースのポケットの中からバッジを取り出した。 ミカン「スチールバッジを差し上げたいと思います。」 ジャイアン「うおっしゃあああー!!」 ドラえもん「凄いよ!ジャイアン!」 スネ夫「見直した。」 のび太「…………」 ジャイアン達は歓声を上げている。 そこにミカンがやってきて言った。 ミカン「お見事でした。 用意周到な作戦、機転のきいた戦い、近年で最高の戦いです。 旅の成功をお祈りします。」 とミカンが言った ジャイアン「ありがとな!!! 達者でよ。」 そう言い、ジャイアンはミカンと握手を交し、去ろうとした。 しかし去る直前で、ドラえもんが言った ドラえもん「ああ、言い忘れていたけど、実はタンバのシジマさんが死んだんだ。」 ミカン「知っていますが何か……?」 ドラえもん「実はシジマさんは事故で死んだんじゃない。 殺されたんだ!」 ドラえもんがそう言うと、ミカンは驚いた。 そして、ドラえもんは、シジマを殺した奴の目当てがジムバッジであること、不思議な力で、直接手を下さずとも命を奪うことが出来ることを話し、ジムを後にした。ミカンはドラえもんの話を信用してくれ、警戒し、ジムを一時閉めてくれることになった。 ジャイアン「ミカンちゃん大丈夫かな……?」 ジャイアンは心配そうに呟いた。 ドラえもん「大丈夫さ。少しジムを閉鎖するって言ったし。」 と、ドラえもんが言った。 のび太「あっ」 スネ夫「どうした?のび太?」 のび太「ジムに忘れ物してきちゃった。」 ミカン「ここで最後ですね。」 ミカンは、四人が去った後、ジムを閉鎖し、先程のバトルの跡の修復作業にあたっていた。 しかし今、考えると、素直にあの青狸ポケモンの言うことを聞いてジムを閉鎖してよかったのか心配になってくる。 確かに、自分もシジマの死に何か普通では無いものを感じていたが、それなら、何故わざわざ海の向こうのシジマさんを先に狙ったのだろう。 順序からいって先ず自分ではないか。 しかもシジマさんはいつも、平気で二十四時間特訓とかしている人だ。何かの弾みで心臓が止まったりしても仕方がない。 そもそも、直接手を下さずに人を殺せる能力なんてポケモンの世界でも聞いたことがないし、非科学的である。 ミカン『私、騙されたのかしら?』 と、思いながら最後の床の穴を塞いだ瞬間、ジムのドアを叩く音が聞こえた。 今、考えていた事が考えていた事だけに、ミカンの背筋に冷たい物が走った。 しかし、 「すみませ~ん。忘れ物をしましたぁ~。あけてくださ~い。」 と、冴えない声が聞こえてくる。 しかも、何処かで聞いたことのある声だったので、恐る恐るドアを開いてみると、さっき、ジム戦に来ていた(付き添いではあったが)眼鏡を掛けた冴えない少年だった。 のび太「すみませ~ん。忘れ物したんですけど入っていいですか?」 少年は言う。 この少年がシジマを殺した犯人な筈が無かろうし、立ち入りを拒否する理由も無かったので、 ミカン「そうですか…… ではどうぞ」 と、快く中に入れてあげた。 のび太「すみませんね、ホント、んじゃお邪魔しま~す」 ミカン「いえいえ。」 少年はバッグをあさりながら色々聞いてきた。 のび太「もうジム戦はやらないんですか?」 ミカン「まあ、長くはないと思いますけど。」 のび太「ジムバッジ持ってませんか? ついでにジム戦もしたいんですけど。」 と少年は言ったが、今はそれどころではない。そもそも、忘れ物を取りに来たのではなかったのか。 ミカン「バッジは持ってますが、ジムは閉鎖するのでジム戦は出来ませんね。」 のび太「へぇー、そうですか。 ミカンさんの本名はミカンでいいんですか?」 ミカンは、何だか変なことを聞くなあ、と思ったが、別に答えてもどうってこと無かったので、素直に、はい、と答えた。 そこでミカンは少年の異変に気付いた。 何かを書いている。 その何かは何だか分からなかったが。 ミカンはこの少年にかつて無いほどの薄気味の悪さを感じた。 のび太「これで終わりましたよ。」 ミカン「忘れ物、みつかったんですか?」 のび太「いやいや、待ってくださいよ。あと10秒程です。」 10秒?この少年が何を言ってるのか分からない。しかし何だか……… 「ドクン」 ミカン「ツッ!?」 ミカンは胸の痛みを感じ、その場に倒れた。 ミカン「はあはあはあ………」 苦しい。体も麻痺している。 目の前の少年はこちらを見て笑っている。今までに見てきた人の顔の中で、最も禍々しい顔で。 ミカン「ま……さか、あなたが……ジジマさ……んを……した……人…」 ミカンは精一杯声を出したつもりだが、声が出ない。 少年は近付いてくる。 ミカン『いや……来ないで……』 ミカンは少年の接近を制しようと、力一杯声を出そうとしたが、やはり声は出なかった。 のび太「ああ、今から忘れ物を取らせて貰うぜ。先ずバッジと……」 と、少年は言いミカンのワンピースの中を探ってバッジを入手した。 その後、去り際に少年は、 「お前の命だよ。キシシシシ。」 と言い、ジムを出ていった。 最後の言葉はもはやミカンには聞こえてなかった。 ドラえもん「のび太君……まだかな?」 のび太「みんな~、ごめ~ん」 のび太はジムを後にしたのち、また一行と合流した。 スネ夫「遅いぞ!のび太! このノロマ!!」 いつもの如く、スネ夫が文句を言ってきた。 のび太「ごめん。」 『こいつウザい。絶対名前割り出して殺す。』 のび太は殺意を覚えたがとりあえず目的の為に抑制した。 今はそんな事より大切な事がある。 そう、最後のバッジについてだ。 最後のバッジを誰が取るかはこの世界の脱出にかなり重要な要素になってくる。 確か出木杉とかいう奴がフスベのバッジを入手するためには、あるイベントをこなす事が必要で、それに必要なアイテムはこの世界でひとつしかないと言っていた。故にバッジを手に入れた瞬間独占した状態になると。 もし、奴らが先にバッジを手に入れた場合、自分は最後のバッジを入手する手段がなくなるため、奴らを殺して奪うしか方法がなくなる。 しかしそれはかなりリスクが高い。 殺す条件を満たす為に、行動すれば足がつくかも知れないし、力づくで奪うにはやはり戦力が足りない。 それに出木杉達の手持ちも不明。 戦うのは得策じゃない。 だが逆に俺が最後のバッジを手に入れられたとしたらどうだろう。 ジムリーダー死亡のため、もう入手不可能になってしまったバッジは自分は両方所有している。裏を返せば、その他のバッジは、自分が所有していないその他のバッジは、これからいくらでも入手出来るということだ。 もし、そうなれば奴らと行動を共にする必要もなくなる。 折りをみて行方不明にでもなればいい。 その後は各地のジム破り、そして、脱出。 奴らは一生自分を探し続ける。 想像しただけでも笑えた。 とにかく、そのような状況を作るには少しでも最後のバッジの情報が欲しかった。 そこでのび太は切り出した。 のび太「ねぇ、出木杉達は今、何してるの?」 (月) 17 16 25 ID ??? のび太の一言に全員が顔を見合わせた。 ドラえもん「確かに、定期的に連絡をとると言った以上、そろそろ連絡しなきゃいけないかもね。 安否も気になるし。」 ドラえもんは頷き、四次元ポケットからポケギアを取り出そうとした。 その時、突然ドラえもんのポケギアが鳴りだした。 ジャイアン「誰からだ?」 ジャイアンが神妙な顔付きで訊いた。 ドラえもん「大丈夫、丁度よかった。出木杉君からだよ。 もしもし……」 ポケギアからはつい数日前に聞いた声が聞こえだした。 出木杉「あっ、ドラえもん君、無事かい?」 ドラえもん「ああ、無事だよ。」 ドラえもんは自分達と出木杉達の安否を確認すると、ポケギアの音量をめいいっぱい上げた。 ドラえもん達は、出木杉達の無事に安心を覚え、ホッとした。 しかし、その安心感は次の出木杉の一言に掻き消されることになる。 出木杉「あのね……。 ちょっと困ったことになったんだ………。 ジムが開いてない。」 「なんだって!?」 その場にいた全員が全く予想だにしなかったことに驚いた。 しかし、出木杉はそのまま話を続けた。 出木杉「いや、ジムが開いてないと言うより、入れないんだ。変な男がとうせんぼしてる。」 信じられない出木杉の言葉にスネ夫が言った。 スネ夫「何故……何故開いてないんだい?」 すると出木杉は落ち着いた様子で言った。 出木杉「僕らも始めは気になったけどね。 ラジオをつけてごらん。」 それを聞いたジャイアンは無言でラジオのスイッチをつけた。 すると、いつものクルミの声ではなく、変な男のダミ声が流れだした。 「あーー。われわれは――」 スネ夫「まさかこれは……」 出木杉「そう、ラジオ塔がロケット団にのっとられるイベント。 確かフスベのジムが開く条件は、そのイベントクリアだった気がする。」 全員はこのイベントのことを忘れていた。 時間犯罪者の事で手一杯になっていたからである。 全員に沈黙が走ったが、またそれを出木杉が破った。 出木杉「とにかく、僕らは、ジムに入れないことは事実。 だからこれからの事について話そうと思って、連絡した訳さ。」 ドラえもん「成程……。 君はどう思うんだい?」 ドラえもんが訊いた。 出木杉は少し、言うのをためらった。 五秒程経ち、また出木杉は口を開いた。 出木杉「……僕達は、フスベに残り、君達にイベントクリアを任せた方がいいと思う。」 ドラえもん「僕もそう思った。」 ドラえもんは同意した。しかし、スネ夫がそこで口をはさんだ。 スネ夫「えぇぇっっーー!! 時間犯罪者の攻撃もあるのに、危険すぎるじゃないか! ただでさえ、ルール無用のロケット団との戦闘は危険なのに…… ここは総力戦であたろうよ。」 と、スネ夫が反論した。 ドラえもん「いや、逆にひとまとまりになっていると、一気に皆殺しにされてしまう恐れがあるし、イベントクリア後、すぐにジムに挑戦するために、出木杉君達にフスベで待機してもらった方がいい。 それに、奴は現段階では、僕らを殺せないし、もし、殺せるとしても、イベントクリアまでほっておくだろう。 クリアしたら、出木杉君達がフスベにいる限り、先手を取ることが出来るからね。」 と、ドラえもんは言った。 ジャイアン「よくわからないけど、要するにロケット団をぶっ潰せばいいんだろ。 早くコガネに行こうぜ。」 ジャイアンが言った。彼はまた移動の支度をしている。 出木杉「そうは言ったものの本当にいいの? 僕らは、まだ時間犯罪者の攻撃を受けてないけど、君達は目の前でそれが起こったんでしょ。 それに、ヤドンの井戸の時の奴らを見ただろ。 ゲームとは違って、奴らの数は半端じゃない。 チョウジのアジトは楽だったけど、幹部がコガネの為の準備って言っていたから、かなり大規模になると思うよ。」 ジャイアン「大丈夫、大丈夫。まかせとけって!」 ジャイアンの頼もしい一言に安心したのか出木杉はクスリと笑った。 出木杉「わかった。 コガネは君達に任せるよ。 無事でいてね。」 ドラえもん「そっちもね。」 と、言い、ドラえもんはポケギアの電話を切った。 そして、一行はコガネに向かった。 次へ
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開催予定 日帰り聖杯戦争開催日 不定期。 概要 ルーマニアの首都、ブカレスト。 かつてその地では、"聖杯大戦"と呼ばれる大規模の聖杯戦争があった。 "聖杯大戦"後、土地の霊脈の核となる、"大聖杯"の喪失の影響により、霊脈の均衡が乱れ、その地の霊脈が強まってしまった。 魔術教会はそれを利用し、幾つもの聖杯を降臨させるが、その数は管理出来ない程、産み出された。 その為、魔術協会は聖杯を消費するために、"亜種聖杯戦争"と呼ばれる小規模の聖杯戦争を乱発するようになった。 そして、皆さま宛に『一通の聖杯戦争の誘い』と記された手紙が送られた。 この聖杯戦争も世界各地で行われている"亜種聖杯戦争"のーつではあるが、その規模やルールは冬木の聖杯戦争により近いものと言われている。 その為、小規模の聖杯戦争ではあるが、聖杯は本物でないかと期待されている。 ※この舞台は、Fate/Apocryphaの世界と、別の世界線であることを踏まえて頂けると幸いです。 此方、設定です→https //w.atwiki.jp/fateonsen/sp/pages/393.html
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野比のび太(34) 技巧派投手 最大球速:151km/h 平均球速:147km/h コントロール:A83 スタミナ:A84 変化球:スライダー2 カーブ1 ツーシームジャイロ(カーブ系)4 シンカー1 シュート2 適性:先 【特殊能力】 対ピンチB ・対左打者E ・ノビB ジャイロボール ・リリース○ ・球持ち○ ・緩急○ ・奪三振 ・キレ○ ・根性○
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のび太 NEW SONGS 類別 曲名 作曲/演唱 EXP MAS Re MAS 宴 Google Drive YouTube POPS アニメ 不專心 黃氏兄弟 - 12+ - - 下載 影片 (2020/05/13 發佈) ALL SONGS 類別 曲名 作曲/演唱 EXP MAS Re MAS 宴 Google Drive YouTube POPS アニメ 不專心 黃氏兄弟 - 12+ - - 下載 影片 ※Youtube頻道
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前へ 所変わってラジオ塔最上階。 長身の銀髪が初老の男性にひざまづいている。 コウ「…………という訳で、私共は奴らを撃退しました。」 参謀のコウは、今回の出来事について話していた。 トシミツ「それで、撃退した子供はどうした?」 コウ「それが……。 なみのりで流れていってしまって行方不明でして……。 捜索は続けているのですが、全く見つかりません。」 トシミツ「そうか、そうか……。」 トシミツはコウの報告に一考する。 理想はその子供を見つけ、それを人質にドーブル本体の要求という流れだった。 しかし、見つからないのでは仕方ない。 それはあきらめよう。 トシミツ「やはり、籠城だな……。」 トシミツは誰ともなしに呟く。 雨の中、やってくるドーブルの対策が出来た今、無理をすることもあるまい。 カホウには負担だが、後二週間、雨を降らし続けてもらおう。 心の中でトシミツはコクリと頷く。 トシミツ「よし、コウよ。 下がってもよいぞ。」 その時、 「バン!」と扉が開いた。 見ると、団員が息を切らせている。 コウ「どうしました?」 コウが訊くと、団員は息も絶えだえに言った。 団員「ポケモンセンターが……、何者かにポケモンセンターが爆破されました!!!」 トシミツ「なにっ?」 団員の言葉に流石のトシミツも驚きを隠せなかった。 団員「それと、デパート内からPP回復の道具が奪われました! デパート、センター内を見張っていた者は全て消されています!」 団員の声には最早ヒステリックな物が混じっている。 続けて、コウも自分の考えを言う。 コウ「やられましたね……。 恐らく侵入者は複数。一人が囮になり、本隊がデパート、センターを叩く。 多分、先程のセンター爆破は時限装置でも使ったのでしょう。 あんな派手な音を出せば、自分らの存在が気づかれる事は必死。 奴らはそんな馬鹿ではない。 故に倒そうにも奴らはもうここにはいない。」 トシミツ「うーむ。」 トシミツが唸る。 ポケモンセンター、及びPP回復アイテムを盗んだのは恐らく、 あまごい封じと、籠城戦をさせない為。 持久戦に持ち込めば、回復が出来ない分、こちらが不利になることは明白。 あまごいも切れ、灼熱の太陽に焼かれながら無惨な敗けを噛み締めるだろう。 持久戦は出来ない。 ならば……。 トシミツは目を閉じ、こう告げた。 トシミツ「コウ、これから全隊、出撃準備。 奴らの陣に攻め込む。 今すぐにだ!」 コウ「なんですって!?」 コウが驚く。 コウも、次の手は突撃しかないとは思っていた。 コウ「お気は確かですか? 今からなんて……。」 コウが言う。 コウも次の手が突撃しかないとは思っていた。 しかし、今からとは予想もつかなかった。 余りにも無茶過ぎる。 コウの驚きをよそに、トシミツは指示を続ける。 トシミツ「攻撃目標は35番道路からエンジュシティのポケモンセンター。 奴らの意表をつく為に今からいく! さあ、コウ、全隊に指令だ!」 コウ「しかし……。」 コウがためらっていると、後ろの団員が言った。 団員「自分は、トシミツ様に賛成です。 トシミツ様のおしっしゃる事なら間違いはありません!」 団員は息を切らせ、一息でそれを喋りきった。 ギロリと団員を一睨みしてからコウが言う。 コウ「わかりました……。」 コウは渋々了承する。 トシミツ「それでは言った通りに……。」 コウ「はっ。」 コウはそう言うと部屋から出ていった。 それを物陰から聞いている人が一人。 キキョウ「突撃……。 この策は私達にかかってるわ……。 でも、注意するのは敵だけじゃなさそうね」 キキョウは誰ともなしに呟いた。 アンノーン「………というわけだ。」 スネ夫「そうか……。 一応作戦は成功したようだね。」 アンノーン達がスネ夫に報告する。 そこへ、ドラえもんがやってきた。 スネ夫「ドラえもん……。」 スネ夫はそれに気づき、声をかける。 ドラえもんのその表情から察するに、既にあのことを知ってるに違いない。 沈黙が暫し流れたが、スネ夫がまた口を開く。 スネ夫「のび太は、のび太は無事かい?」 ドラえもん「うん。 疲れて、向こうのテントで寝てる。」 スネ夫「そう……。」 スネ夫は肩をすくめた。 のび太もちゃんと仕事をした。 自分も頑張らねばならない。 スネ夫「のび太はジャイアンのことは知ってるのかい?」 スネ夫の問いにドラえもんは首を横に振る。 スネ夫「そうか。 ならのび太には知らせない方がいいな。 無駄に精神的プレッシャーを与えることになる……。」 スネ夫の言葉にドラえもんも同意する。 その後、ドラえもんに皆を呼んでくるよう頼み、ドラえもんを部屋から追い出した。 一人になった部屋で一人呟くスネ夫。 スネ夫「僕の作戦もいよいよフィナーレ。 後は乗るか反るか……。」 スネ夫は何ともいえない感じに体を震わせた。 それが、恐怖であったかどうかは分からない。 トシミツが全軍出撃の指令を出してから数分後、 コウは放送で今後の事を述べると、休憩室に腰を下ろした。 周りでは突撃前に、暇をもて余した団員達が雑談をしている。 トシミツを誉めたたえる話が大半だ。 コウ『てめえら、あの糞ジジイのどこが好きなんだよ。 カス共が。』 コウは不快感を感じ、休憩室から出ていく。 しかし、出ていってもあのイライラする会話が何処かで聞こえる。 今の団員達は皆、トシミツに保護されたり、恩を売られたりして忠誠を誓っている。 しかし、コウは違う。何者にも属さない。 コウの目的。それはロケット団を乗っとり、自分の物にすること。 コウ「突撃まで、後一時間……。 今回の事で思い知らせてやりますよ。 誰が頂点に立つものとしてふさわしいかを、ね。」 コウはそう呟いた。 コウの目には最早、自らの野望しか映っていない。 所変わって、また35番道路。 のび太、スネ夫、アカネ、ドラえもん、その他のトレーナー達が作戦の打ち合わせをしている。 スネ夫「……と、いうわけで、奴らはこれからエンジュを目指して攻撃してくる。」 スネ夫は机の上のコガネの見取り図を指さして言う。 スネ夫「連中はこれから、全戦力と全戦力との総力戦になると思っている。それの……」 ドラえもん「裏をかく!」 ドラえもんが合わせるように言い、一同は首を縦に振る。 スネ夫「連中はエンジュまで陣を拡げる為に、外に総力を向ける。 逆をつかれないように、南の方の守りも厳重になる。 すると、どうだろう。 中の戦力が手薄になる。 そこから、手薄な内部へ……。」 スネ夫が見取り図の中央を指差す。 スネ夫「のび太のテレポートで侵入!」 話を聞いていた周りも、スネ夫の作戦に感嘆の声を漏らす。 のび太をコガネに潜入させた真の狙いはこれ。 のび太に死なれて困るのもこの理由だ。 スネ夫「コガネ内部に侵入するのは、僕、のび太、ドラえもんの三人。 中途半端な戦力は相手に逆手に取られるからね」 のび太とドラえもんは緊張の面持ちで頷く。 スネ夫「アカネさんや、他のトレーナーさん達は突撃してくる奴らを食い止めてくれ。 あと、ドラえもん。」 スネ夫はドラえもんの方を向く。 スネ夫「あの人の協力は得られるのかい?」 ドラえもん「うん。 快くOKしてくれたよ。」 スネ夫の問いにドラえもんが答える。 これで、スネ夫の作戦にもう、問題はない。 スネ夫「何か質問がある人はいる?」 スネ夫が訊くと、のび太が恐る恐る手を上げた。 のび太「ジャイアンは? ジャイアンはどうしたの?」 のび太の禁断の質問にスネ夫はドキッとしたが、スネ夫が答える前にドラえもんが言った。 ドラえもん「じゃっ、ジャイアンは町に潜伏してるよ! 今はちょっと動けないだけ。 作戦は伝えてるから大丈夫さ!」 ドラえもんは無理に明るく振るまい、言う。 のび太「よかった……。 帰ってきてないから、何かあったんだと思ったぁ……。」 のび太『あの反応……。 予定通り奴は死んだようだな。 キシシシシ。』 スネ夫はゴホンと咳払いをし、もう一度言った。 スネ夫「他に何か質問はあるかい?」 その場にいた全員は、首を横に振る。 スネ夫「よし!じゃあ、皆それぞれの持ち場へ! 作戦開始!!!」 一同「オオーー!!!」 全員が、テントの外へ散っていく。 それぞれの思いが交錯するなか、確実に決戦の時は近づいていった。 「ん……?」 ある広い空間の中、ジャイアンは目を覚ました。 目がボヤけ、頭がガンガンする。 ジャイアンは一人呟く。 ジャイアン「ここは……。 頭が痛え……。なにも覚えてねえや……。」 するとそれに応える者がいた。 ボヤけていて、よく見えないが、何だか徳のありそうな人物だ。 周りには、数人のひ弱そうなメガネがいる。 ?「目が覚めたようだな。 ここはコガネ百貨店の地下だよ。」 ジャイアン「コガネ百貨店の地下……? 俺は奴のなみのりに流された筈じゃ…… っていうかあんたは誰だ?」 ジャイアンはいまだ本調子ではないのか、たどたどしい口調で言った。 ?「私かい?私ははずかしながら、ラジオ塔の局長をさせてもらっていた男だよ。 この通り、ラジオ塔はのっとられてしまったがね。」 ジャイアンは意外な人物に驚く。 コガネ住民は皆避難した筈だ。 ジャイアン「何故地下倉庫いるんだ? 避難したんじゃねえのか?」 ジャイアンの問いに局長はため息をつき、答える。 局長「奴らがコガネのラジオ塔をのっとった時、私達は町中に必死でこのことを伝え、避難させた。 そうしたら私達は町の外に逃げ遅れて、ここに逃げ込んだんだ。 奴らに見つからないように生活するのは苦しかったよ。」 成程。 全員のやつれた頬を見ると、どれ程の苦労かが分かった。 局長はまた話を続ける。 局長「ここ数日この空間の中は酷かった。 炎天下、酷い雨の中、デパートから、コソコソここまで物資の詰め込み作業をしなきゃならかったからな。」 その原因が自分達にあるとは口が割けても言えない。 局長「そして、私達は地下を脱出することにした! しかし、その方法が無い。 するとある日、仲間の内の一人が、外を巡回中に波間に浮かぶ君を見つけた。 全く動いてなかったから死んでいると思ったら生きているではないか! しかも天の恵みだろうか、君はトレーナーらしい。 これで奴らに対抗できる。そう私達は思った。 そして私達は君をロケット団に見つからないように地下倉庫に連れ帰った訳だよ。」 局長は声を荒げた。 ジャイアン「成程。 俺を奴らとの対抗戦力として使う気だな。」 局長は首を縦に振る。 ジャイアンは頭がようやくはっきりしてきた。 多分自分が生きているのは、突入前にドラえもんの目を盗んで勝手に使った「てきおうとう」のお陰だろう。 ちなみにスネ夫達にはこのことを知らせていない。 理由はジャイアンが使った瞬間、てきおうとうの電池が切れ、 「これはヤバイ」と思ったジャイアンはそのことを隠していたのだ。 まあ、今となってはそれが幸運となったが。 ジャイアン『俺の好奇心も捨てたもんじゃねえぜw』 ジャイアンは心の中で笑う。 一呼吸おいて、局長はまた話を始めた。 局長「そこでだ。君に頼みがある。 私達をこの街から出してくれないか? 君が気絶してる間に君のポケモンは見せてもらった。 オーダイルにカイリキー……、皆高レベルなヤツばっかりだった。 君ならここを突破出来るだけの力はある!!」 褒められて悪い気はしないジャイアン。 思わず口元が弛む。 そんなジャイアンを知ってか知らぬか、局長は殺し文句を吐いた。 局長「作戦は後で話すがやってくれるかね? 君だけが頼りなんだ! 男ならやってくれるだろう?」 ジャイアン「まかされよ!!」 ジャイアンは二つ返事で答えた。 局長「ありがとう! 作戦はまた後で話すよ。 とりあえず、今は体を休めてくれ。 30分後から作戦を話す。 そして一時間後に決行だ! それと、これは使っておいてくれ。」 局長は倉庫のダンボールから、回復アイテムやら、 技マシンやらドーピングアイテムを取り出した。 これで大きな戦力アップが望める。 ジャイアン「これだけ期待されて断ったら男がすたるぜ! よし!俄然やる気出てきた!! ついでにあの水ヤローもとっちめてやるぜ!!」 鼻息を吹き出し、戦闘意欲見せたジャイアン。 しかし、その作戦がまたまた地味なものと知ると ジャイアンのテンションは急降下してしまった。 一方、自然公園には決戦の時を待っているドラえもん達の姿があった。 ドラえもん「静かだね……。」 嵐の前の静けさにドラえもんが呟く。 すると、コガネの方から例によってアンノーン達がやってきた。 後少しで隊列をなした連中がゲートを越えてくるらしい。 スネ夫「アカネさん達は手筈通りにやってるかい?」 アンノーン達はイエスという文字を作る。 スネ夫「分かった。 後は突入合図を頼むよ。 奴らがゲートを越えきったら作戦開始だ。」 アンノーン「了解。」 アンノーンは了承すると、またコガネの方へ飛び去ってしまった。スネ夫「本当はてきおうとうを使うのがベストだったんだけどな……」 スネ夫が呟く。てきおうとうの電池は切れてしまっていた。 ドラえもん「緊張するね…。」 ドラえもんが呟く。 のび太「大丈夫だよ! 準備はしたんだし。」 のび太は突入用のフーディンを繰り出し、元気よく答える。 のび太にとっても、ここは上手くいかせなくてはならない。 のび太の策を成立させる為にも。 しかし、緊張のためか、やはり場を沈黙が支配する。 すると、別のグループのアンノーンがやってきた。 アンノーン「奴らがゲート越え始めた!」 次へ